第1回ベルギー王国ビール探訪記(13)

小便小僧ビアカフェ探訪

ブリュッセルのビア・カフェ

タベルネ・シリオ Taverne Cirio ラ・ベカッセLa Becasse
リマージュ・ノートルダム L'Image Nortre-Dame モール・シュビト Mort Subite
ビア・サーカス Le Bier Circus ル・セルキュイーユ Le Cercueil

グランプラスのクリスマスツリー  首都ブリュッセルの中心、グラン・プラスは中世ゴシック様式の建造物に囲まれた広場で、ちょうどこの季節、20m以上あろうかという大きなクリスマスツリーを広場の中心に立てて飾り付けをしているところだった。ラ・シャルプ・ドール La Chaloupe D'Or ル・ロワ・デスパーニュ Le Roi D'Espagneは、そのグラン・プラスに面する観光客に人気のあるカフェ。また、この広場には、 17世紀にビール醸造者ギルトとして使用されていた建物があるが、現在そこはビール醸造博物館として一般に公開されている。

タベルネ・シリオTaverne Cirio

 グラン・プラス周辺には、アールヌーボー様式の内装で知られるいくつかのカフェが点在しており、ビール愛好家ばかりでなく、アンティーク好きにもお薦めのスポットである。 タベルネ・シリオTaverne Cirioは1886年創業の店で、徹底したアールヌーボーのインテリアが、 やや薄暗い照明と相俟って時代を超越した雰囲気を醸し出している。

シリオ アールヌーボー調の店内

  ビールの種類は約40種類。ここではベルギーエールのVIEUX TEMPS (80BF)、トラピストビールの代表ORVAL(95BF)、アベイのLEFFE TRIPPLE(100BF)と ST.FEUILLIEN BLOND(90BF)の4種類を味わった。LEFFEは日本でも輸入されている銘柄だが、そのTRIPPLEは輸入されていないので貴重であった。また、ST.FEUILLIENの旨さにも格別なものがあって、我々はこのビールの虜になった。

【データ】 TABERNE CIRIO (18 Rue de La Bourse,BRUXELLES) 02 512 13.95 10:00〜
評価:CAFE★★★★★ BEER★★★

ア・ラ・ベカッセ A La Becasse リマージュ・ノートルダム L'Image Nortre-Dame

 ア・ラ・ベカッセ A La Becasseとリマージュ・ノートルダム L'Image Nortre-Dameは、姉妹店であるが、飲めるビールの種類は異なる。ア・ラ・ベカッセは、有名なランビックビールの店で、 証券取引所近くにある。入口が通りから奥まった所にあるが、歩道上に大きな鳥の絵がはめ込まれているのが目印。LE LANBIC BLANC(105BF)は、珍しい白ビールのランビックビールで、フ ランス産のバノンというチーズの風味にそっくりな独特な酸味を持った味わい。甘味を付けたLES LAMBIC DOUX(120BF)は、飲みやすいさわやかな味わい。 どちらも樽生で、ベルギーでは珍しく陶器のジョッキで出てくるが、これがランビックビールの古い伝統なの だという。これをガラスのコップに移して飲む。BECASSE GUEUZEは瓶で、以前日本にも輸入されていたものと同じ。LA KRIEKは、ランビックビールのメーカー:ティメルマン TIMMERMANS の専用グラスで出てきたので、中身もティメルマンで醸造したビールかもしれない。

 リマージュ・ノートルダムは、グランプラス北側に広がる海鮮レストラン街の イロ・サクレ地区近くにある店。ブルゴーニュ・デ・フランドル BOURGOGNE DES FRANDRES(110BF)というレッドビールがこの店の名物。色が赤ワインのようで、フランスのピノ ・デ・シャラントのような香味を持っている。 

ベカッセ
ア・ラ・ベカッセ
リマージュ・ノートルダム
リマージュ・ノートルダム
【データ】 A LA BECASSE (11 Rue de Tabora, BRUXELLES)  02 511 00.96
L'IMAGE NORTRE-DAME (3 Impasse des Cadeaux)02 219 42.49 12:00〜 16:00〜 評価:CAFE ★★★★BEER★★

モール・シュビト Mort Subite

 モール・シュビト Mort Subite もアールヌーボーの店で、明るい雰囲気を持っている。グラン・プラスの北側にある19世紀中ごろ開店 した華麗なアーケードであるギャラリー・サンチュベールを通り抜けた場所にある。 店名 は変わっていて「頓死」という意味。この店はかって近くにあった新聞社の記者の溜り場 で、よく彼らはゲームをやっていたが、事件が発生すると誰かが社に呼ばれゲームを離脱し、その者は頓死し たことになってゲーム終了となったことから、この店がこの名で呼ばれるよう になったという。また、モーリス・ベジャールもよくこの店に来て、バレエの打ち合せをしていたという。

モール・シュビト モール・シュビトの店内

  この店のオーナーは、デ・ケールスマーケルDE KEERSMAEKER醸造所で、ランビックビールで有名な醸造所である。 銘柄は日本にも輸入されている「モール・シュビト」。メニューには、 ランビックビールの銘柄が記載されていないが、当然ながらモール・シュビトのランビックが出てくる。ファロ FALO(75BF)、 グーズ・シュル・リーGUEUZE SUR LIE(100BF)、クリーク KRIEK(115BF)、カシス CASSIS (115BF)。すべて樽生なのでとてもフルーティでフレッシュ。 ただし、グーズ・シュル・リーだけは、常温でコクがあり、 やや重い感じのビールであった。それぞれ、形や大きさが異なるモール・シュビトのオリジナルグラスで出てくる。

【データ】 MORT SUBIT (7 Rue Montagnes aux Herbes Potageres, BRUXELLES)
02 513 13.18 11:00〜評価:CAFE★★★★ BEER★★
《MORTSUBITEのメニューの一部》
GUEUZE 110 PORTO 75
FARO 75 FRAMBOISE 115 MOUSSEUX 75
EXPORTMEAS 50     VINBLANC 60
GRIMBERGEN > 100     ROUGE 60
PALM 60     ROSE 60
TRAPPISTE 100 CAFE 55 CAMPARI 75
PALE ALE 75     KIRR 80
MARTIN'S 100     DUVEL 100
SCOTCH 100        
STOUT GUINNESS 100 X'MAS CARLSBERG 75 FROMAGE 95
SPA 45     CHIPS 50
CITRON 45>        
ORANJUS 45        
COCA-COLA 45        

◆ ビア・サーカス Le Bier Circus

 ビア・サーカスのメニューは、種類の多さ にもかかわらず、注文しやすいように工夫が 施されている。アルファベット順に醸造所が並んでいるだけでなく、各ビー ルのラベル写真を一緒に掲載している。ビールのタイプもブロンドかアンバーかブラウンかが明記されており、アルコール度数も載っている。 160種以上の品揃えで、入手困難なウェストフレテレンもある。

  この店は、「クリスマスビールがある」という機内誌の記事で知ったが、そのあとの場所探しが大変だった。 日本と異なり住所の表示は「○○通り○番」。どんなに細い通りや短い通りにも名前がつい ていて、もの凄い数の通りから目的の通り名を地図上見つけることを非常に困難にしている。 なんとか通りを見つけても、長い通りの 119番などという住所だったりすると通りのどの辺りかすぐにはわからず、 実際行って端から順番に歩いてみて初めて辿り着くのである。ビア・ストリートというカフェを探 したときがそうで、通りの左側の建物の壁に偶数、反対側は奇数で順番に表示されてはいたが、行 ってみてわかったことは、もうその店はないということだった。ビア・サーカスは、 掲載されていた通り名を地図で丹念に調べてやっと場所を確認。いざ行ってみると、地下鉄のマドゥ 駅から歩いて10分位で見つけることができて幸運だった。

 店の中は、ビールのポスターや看板が壁中貼られ、天井からもビールグッズがいろ いろ吊り下げられている。カウンターの席とテーブルの席を合わせて20席ほどの店である。平日の 夜であったが、客は我々を含め2組だけで、店のご主人は新聞を読んでいた。
 
 目的のクリスマスビールを注文すると、ご主人は奥の部屋へ行ってビールを 探して持ってきた。カウンターで栓を抜き、グラスに注いで瓶と一緒にテーブルへ。ウェス トフレテレンは、瓶を持ってこないで王冠だけを持ってきた。「瓶を持ってきてもラベルがないだから意味ないで しょう」とのこと。 最後に、La Quintine De Noel をテイクアウトしたい旨伝えると 1本145BFでOKということで、日本にお土産として持ち帰った。再び行きたい店である。

【データ】 LE BIER CIRCUS( 89 Rue de l'Enseignement,BRUSSELS)  02 218 00.34
〜12〜15:00、〜17:00〜、評価:CAFE★★★ BEER★★★★
ビア・サーカスで注文したビール
(メニューから書き写す)
AU FUT / VAN'VAT
☆ BLANCHE DE STEENDONK WIT BIER 25cl 50
LES TRAPPISTES,TRAPPISTEN
☆WESTVLETEREN (Sint Sixtus Abdij)   Westvleteren 8゜ 8 % 33cl 130
LES BIERES DE FERMENENTATION SPONTANEE
☆ BRASSERIE ELLEZLLOISE (Ellzelles)
La Quintine De Noel (Brune/Donker)
8% 33cl 110
☆ PIRON (Aubel)
Abbaye Val-Dieu Blonde (Bleek)
6.5% 33cl 110
☆ DE DOLLE BROUWERS(Esen)
STILLE NACHT (Doree /Goud kleurig)
10% 33cl 130
☆ SLAGHMUYLDER(Ninove)
WITKAP PATER STIMULO (Blonde/Bleek)
6% 33c 80

◆ ル・セルキュイーユ Le Cercueil ◆

セルキュイーユ 特別に変り者のカフェは、ル・セルキュイーユ Le Cercueilで、グラン・プラス近くにある。通りに面した店の場所はすぐにわかったが、しかし、店の扉は開かない。本当の入口は、隣の建物にある怪しげな暗い通路の突き当たりの傷んだ扉である。勇気を出してその扉を開けると、中は赤い蛍光灯の灯りで、不思議な雰囲気。白いシャツが蛍光色に光って見え、室内すべてが本来の色でなくなっている。よく店内を見渡すと、壁に棺桶の蓋が掛けられている。蓋には十字架。天井にも棺桶の蓋がいくつもぶら下げられている。座ったテーブルのテーブル板はガラスで、その透き通ったガラス板の下には棺桶がある。棺桶をテーブルとしてビールを飲んでもらおうという趣向なのか。トイレは2階にあるが、階段の壁には不気味な絵が描かれていて恐い。さらに、トイレの電気のスイッチはわざと壊されており、暗い中で用を足さねばならない。店内には、イスラムの音楽にも似た低音が持続した不気味な音楽を恐々しく流し、より恐怖感を煽っている。あまりにも懲りすぎである。

  さて、ここで注文したビールは2種類。ガウデン・カロルスGOUDEN CAROLUSの樽生(130BF)は、酸味と甘味があって独特な味わい。もう1つは、LEFE RADIEUSE の樽生(130BF)。この店でビールの色を見分けるのは不可能。じっくり 味わう雰囲気でもないが、結構グループで来ているお客さんがいて、楽しんでいる様子である。

 あまりにも不気味に感じた我々は、グラス一杯づつ飲んで店をさっさと後にした。とんでもない棺桶カフェであった。

(奉行)
【データ】 LE CERCUEIL (10 Rue des Harengs,BRUSSELS)  02 513 33.61

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