ベルギーのビアカフェ
ベルギー人にとってカフェは、ビールを味わうだけでなく、交流の場を提供してくれる社交場だという。イギリスのパブ、アメリカのバー、ドイツのビアホールみたいなもの。コーヒーとケーキの店ではないので注意。
カフェでは、通常数種類のビールを揃えているので、注文する時は、必ず銘柄を指定しなければならない。もちろんメニューにもビールの銘柄が記載してあるが、それがどういうタイプのビールか併載されていないと注文に迷うことになる。また、ビールのタイプだけメニューに書いてある店もある。日本での「とりあえずビール!」と言うように銘柄を指定せずに「BEER!」と注文する客はいない。
ベルギービールは、それぞれの銘柄オリジナルグラス(ノベルティグラス)に注ぐのが原則なので、どの店を覗いてもカフェのカウンターには多数のビアグラスがキラキラと光り並んでいる。グラスはすべてよく磨かれ、清潔にされている。きれいに磨かれていないグラスでは泡立ちが悪いからである。
カフェは至る所にあるが、日本にも銘酒処といわれる店があるように、ベルギーにも100種類以上もビールを揃える愛好家が唸るようなマニアックなビア・カフェがある。そういうカフェでは当然すべてのオリジナルグラスを揃えているからますます凄い。
ビア・カフェの数
カフェCAFÉと名の付く店はベルギーには、約3万件弱ある。人口は約1000万人なので、大人も子供も含めて300人に1軒の割でカフェがある。海を挟んだ隣国英国にはパブが約8万軒あるが、人口は約5800万人なので725人に対して1軒の割になる。ビールが飲めるのはビアカフェばかりではなく、Taverne、Estamine、Restaurant、Hotelなどさまざまな場所でビールは飲まれている。ビア・カフェの数が人口に比べて非常に多いのがベルギーの特徴である。
資料:N.I.S.
年 |
カフェ Cafes |
レストラン
Restaurants |
ホテル Hotels |
飲食業全体
Totaal Horeca |
2001 |
23,459 |
23,127 |
1,699 |
49,958 |
2000 |
24,383 |
22,822 |
1,747 |
50,608 |
1999 |
25,414 |
22,468 |
1,767 |
51,323 |
1998 |
26,778 |
22,544 |
1,797 |
52,758 |
1997 |
27,559 |
22,061 |
1,830 |
52,514 |
1996 |
28,334 |
21,685 |
1,861 |
53,134 |
資料:O.N.S.S.
|
Hotels |
Restaurants |
Debits de boissons |
Region flamande |
2003 |
8,446 |
35,568 |
9,713 |
53,727 |
2002 |
8,628 |
38,480 |
10,354 |
57,462 |
2001 |
7,853 |
35,914 |
10,897 |
54,664 |
2000 |
7,385 |
32,597 |
10,632 |
50,614 |
1995 |
6,542 |
28,897 |
11,265 |
46,704 |
ベルギーの飲食業、2004年は最悪の年
2004年度のベルギーの飲食業は倒産率2.4%っという悲惨な年であった。 利益が不十分で店を閉めなければならなかった件数は前年度の4倍に膨らんだ。
ベルギーの経済企画庁の報告によれば、昨年は飲食業界(HORECA=Hotel, Restaurant, Cafe)にとってはつらい年で、約3500件の業者が廃業している。とくに個人営業のカフェは最悪であった。飲食業の倒産率は他の業種の2倍。
投稿者 PF : 2005年01月13日 17:10
※ポートフォリオ portfolioから転載
ベルギー 無銭飲食者増加に頭を悩ます飲食店
ベルギーでは無銭飲食者が増加している。最近の統計によると、この件数は1年間で15%も増えている。自営業者協会NSZは、経済危機と店内での喫煙禁止条例がこの数字の増加に繋がっているとみている。
無銭飲食の数は2011年の547件から2012年には629件と15%増加している。 NSZによると、無銭飲食は摘発するのが非常に困難だということだ。
VRTのスポークスマンは、「支払わずに立ち去ろうとする客の半数は未遂で終わらせているが、5分の1は完全に見逃してしまっている」と述べている。
NSZは、この長期に渡る経済危機とバーやレストランでの喫煙禁止の結果が無銭飲食を増加させていると強調している。「喫煙のためにはレストランやバーの外に出なければならないため、結果として、支払わずに逃げることをいとも簡単にしてしまっている」
バーやレストランは無銭飲食を防ぐために、早い時点で客に支払いを要求している。 その他店側の対策のオプションはあまりなく、“見張り役”としての人材を特別に雇うしかないそうだ。
※Portfolio News2013-08-09 10:37 (転載)
ビア・カフェでのビールの飲まれ方
国民1人あたりのビールの年間消費量は101Lで、日本の大瓶(633ml)換算で160本である。日本人は1人57L、大瓶90本相当なのでそれに比べると、ビール消費量が非常に多い国である。それでも世界1位ではなく、1位はチェコの162.6L、大瓶257本相当である。以下、アイルランド、ドイツ、デンマーク、オーストリア、イギリスと続き、ベルギーは世界7位(ちなみに日本は世界24位)である。※1997の資料による。
ビア・カフェの密度が非常に高いにもかかわらず、世界1位のビール消費国ではないのは、ベルギー人のビールの飲み方にあるかもしれない。「1hour
Beer」という言葉があるように、1杯のビールに1時間かけて味わうという飲み方をしているのである。私はビアカフェに1人でやってきて、ビールを1杯だけ注文してじっくり味わって飲んでそれで帰ってしまう人の姿を何回も見かけた。もちろんグループでやってきても同様で、ビール1杯だけ注文して、ずっとその店にいて会話をしているのである。
ベルギービールの味わい方として、ワインを味わうようにその香りと味をじっくり吟味しながら飲むのが正しいと言われているが、スペシャルビールだけでなく、ピルスナータイプのビールでもみなじっくり飲んでいるのである。1杯200円程度のビールだけで、つまみも注文せずに(つまみがない店も多い)長時間、店にいる。
レストラン(特にベルギービールを使った料理の店)では、料理とあわせてビールを提供している。この場合、ビールは完全にワインの代わりである。店には当然ワインも置いてあるが、スペシャルビールのメニューも豊富である。こうしたレストランでは料理とビールの相性を考えながら、また、ビールの香りと味を楽しみながら食事をするのである。
|