前 | 次 |
5日目(1) |
1.デュブイッソン醸造所 Brasserie Dubuisson |
2.ブラッセリー・レ・クアトロ・セゾン(四季) Brasserie Les 4 Saisons |
デュブイッソン醸造所 |
デュブイッソン社長から話を伺う |
旅の5日目は、ワロニアの2ヶ所の醸造所を訪ねる。ブッシュ・ビールで知られるデュブイッソン醸造所とアベイデ・ロック醸造所である。今日は本来のメンバー9人全員が揃い、早朝ホテルを出発する。
デュブイッソン醸造所があるピペPipaixの村は、エノー州にあり、ブリュッセルから車でそう遠くはない。幹線道路からピペの村に繋がる細い道に入ると、その風景は農村そのもの。
ピペの村の中心部に車は行き着いたが、醸造所はどこにあるのか皆目見当がつかず困っていると、1人の郵便配達のおじさんが目に付いた。山田さんは「ブッシュ・ビールを造っているデュブイッソン醸造所はどこでしょう?」と尋ねた。おじさんは、指差し、道を教えてくれた。車は早速Uターンし、おじさんが教えてくれたとおり走った。とそこには醸造所があった。
よく見ると、醸造所であるがヴァプール醸造所であった。こんな田舎の村なのにピペの村には、2つも醸造所があるのだ。デュブイッソン醸造所との約束がなければ、ヴァプール醸造所を見学したいところだが、それはまた次回ということで(場所はもうわかったので迷うことはない)、再びデュブイッソン醸造所を探さねばならなくなった。
ちょうどトラックが脇を通ったので、その運転手に場所を尋ねると、「着いて来い」ということで、先導してくれることになった。しかし、あれあれ!道というより農道をどんどん進んでいくではないか。「本当にこんなところに醸造所があるんでしょうかね?」と山田さんは言いながら、トラックを追随して車を運転する。随分走ったあと、急に広い幹線道路に出た。「この先にある」と言って、トラックの運転手は去っていった。デュブイッソン醸造所はすぐに見つかった。
デュブイッソン醸造所の事務所に入る。通路にはブッシュビールが得た様々な表彰状が飾られていた。事務所の隣は研究室のようである。しばらく待って、デュブイッソン社長が迎えてくれた。社屋の向かい側にあるレセプション用の部屋で社長から話を伺う。
この醸造所は1769年創業で、デュブイッソン一族の所有になったのは後のこと。デュブイッソン一家はビール造りと農業とを一緒にやっていたが、1933年ビール造りに専念するようになった。ビール名のBushは、Dubuissonの英語読みだという。
ビール醸造については、さっそく工場を見学させていただく。案内はデュブイッソン社長である。
1.醸造釜(煮沸釜) 糖化釜と煮沸釜を兼ねる。1950年代に設置された。容量は9370リットル (マッシング・タンク) 麦芽の粉とお湯(50から75度)をまぜ、1時間半で甘い麦汁を得る。 (ボイリング・タンク) 次のろ過機でろ過されたあと、再び麦汁は100度で殺菌される。芳香や苦味をつけるためにホップ(ケント・ゴールディングスとシチリアン)が加えられ、最後に砂糖が加えられる。 1時間半の煮沸の間に、約25%の水分が蒸発するので、1回の醸造で約6000リットルの麦汁が得られる。 |
|
2.ろ過機 これは、麦汁をろ過するろ過機。 |
ろ過され、残ったカス(draff)は農家の家畜のエサとして売られる。外で待っているトラックに直接送り込まれていた。 |
3.発酵タンク ステンレス製。18,000リットル 酵母を麦汁に加える。1週間の発酵によって12度というアルコール度数が生まれ、自然な炭酸ガスや芳香(アロマ)が得られる。 |
|
4.貯蔵・熟成タンク 発酵後のビールは貯蔵庫で4〜6週間冷たい温度で熟成し、味わいが出てくる。 温度計はプラス1度を示しており、表面には霜が張り付いている。 最後に酵母を取り除いて、クリアーで明るい色のビールに仕上げる。 |
|
5.瓶詰め 最大1時間に12000本。20000リットルのビールを詰められる。 |
|
6.樽詰め 瓶ばかりでなく樽生も当然ある。 7.箱詰め・出荷 |
|
今まで気温の低い寒い部屋を回ってきたが、最後やや暖かい部屋になった。そこには、赤い筒状の器具があり、その先端から熱風が吹き出している。箱詰めをしている作業員のための暖房器具であった。しかし、その姿は、宇宙戦艦ヤマトの波動砲そのもの。中は赤外線で真っ赤。ビールが暖まらないか心配してしまう。 | |
さて、工場見学を一通りしたあと、レセプションホールでビールの試飲である。ビールは社長自ら注いでくれた。また、ビールのつまみととして、冷蔵庫からブッシュ・ビールを使ったパテ、チーズ、ソーセージなどを出し、ナイフで切り分けていた。
試飲したビールは
つまみ出されたものがとてもおいしかったので、誰もがお土産に欲しがった。冷蔵庫に入っていたパテやソーセージ類が飛ぶように売れたのは言うまでもない。
ブッシュ・パテ | ブッシュ・チーズ | ブッシュ・ソーセージ |
【データ】 | Braserie Dubuisson(28 Chaussée de Mons 7904 Pipaix) |
http://www.bush-beer.com |
お昼は、近くの街トゥルネーまで行く。トゥルネーには、街の中心のグラン・プラスにBrasserie Les 4 Saisonsというビアカフェがあるので、行ってみることにした。樽生5種類、瓶ビール30種類程度で、そんなに凄い店ではない。店の名のとおり、店内の壁には4つの季節の暮らし振りを描いた壁画がペイントされていた。
メニューから選んだビールは以下のとおりである。
本当はお昼ご飯なのだが、食欲がなく、私はポタージュを注文した。(Potage 50bf)
【データ】 | Brasserie Les 4 saisons (68 Grand Place, 7500 Tournai) |
(つづく)
|
|