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第3回ベルギー王国ビール探訪記(10)
5日目(2) |
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4.メッヘレン |
5.ガウデン・カロルス(ヘット・アンケル)醸造所 |
7.シェ・ムーデル・ランビック |
メッヘレン
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メッヘレンの市庁舎
塔が低いのは、景気が悪くなって資金が続かなくなったためだという。 |
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DEN STILLEN GENIETER
素晴らしいカフェらしいが、残念ながら休業というよりまだ開店時間になっていなかったか? |
デンデルモンドを離れ、今度は30qほど西にあるメッヘレンMechelenに向かう。メッヘレンのグローテ・マルクトに到着したのはまだ日が沈む前で、まだ十分時間が残っていた。
メッヘレンは16世紀初頭ネーデルランドの首都として栄えた都市。この街ではいくつかのビールスポットを回る予定であったが、まず、ビールが330種類以上もあるというビア・カフェSTILLEN
GENIETERに向かう。残念ながらまだ開店時間になっていないのか、休業日だったのか扉は鍵が閉まり入ることができなかった。
ガウデン・カロルス(ヘット・アンケル)醸造所
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看板は、Brouwerij Gouden Carolus(ガウデン・カロルス醸造所) |
メッヘレンにあるビール醸造所といえば、ガウデン・カロルスGauden
Carolusを醸造するヘット・アンケル醸造所Brouwerij
Het Ankerがある。
メッヘレンの街の裏通りを右に左に曲がり、通り名を確認しながら歩いていくと醸造所の裏門に辿りつく。看板は、Brouwerij
Gouden Carolus(ガウデン・カロルス醸造所)となっており、つい最近醸造所名を変えたのであろうか看板が新しい。醸造所名を一般の人々にわかりやすく、また受け入れやすくするため、そこで生産される主要銘柄と同じ名前に変えることはベルギービールの醸造所に限ったことではなく、日本酒の蔵元でも同じ。15世紀以来この付近でビール醸造が行われていたが、1873年に現在の醸造所がこの場所に設立されている。
看板の下をくぐって中に入るとそこはすでに工場。この醸造所は、ビール醸造博物館として見学コースもあり、一般の観光客を受け入れているという。しかし、工場見学を申し込める時間は過ぎており、ガラス窓から建物の中を覗き込むと、機械類の運転も終わっているようで、作業員の方たちももう仕事は終了という感じである。
中庭にもいくつか昔の道具類が展示されており、簡単にそれらを見る。
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屋上にある無蓋冷却漕(オープン・クーラー)とその屋根 |
あとで知ったのだが、この醸造所の特色は、無蓋冷却漕(オープン・クーラー)が醸造所の屋上に取り付けられていて、冷却漕の上に屋根が12本の柱で支えられている構造になっているということである。すなわち冷却漕はじかに空気に触れるばかりでなく、屋根との隙間があることにより、非常に風通しの良い状態となっている。ということは、麦汁の冷却中に、自然に野生酵母が入り込んでいるのである。これは外からも見えるほどの施設であった。当然ながらこの醸造所のビールの味に大きく影響を与えているものと思われる。
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昔の樽造りの風景(蝋人形で展示)と道具 |
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ビールケース運搬用の自転車 |
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醸造所の全景 (写真右の部分が直営のカフェになっている) |
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醸造所併設のビア・カフェのメニュー |
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店内のさまざまなところで、まだ「ヘット・アンケル」も使用されている |
この醸造所で醸しているビールを飲もうということで、敷地内のカフェ・レストランに入る。この醸造所を代表するビールは3銘柄あり、ガウデン・カロルスGouden
Carolus(黄金のカール=カール5世の金貨)、メッヘレン・ブライネンMechelschen
Bruynen(メッヘレンのブラウンビール)、トリプル・トワソン・ドールTriple
Toison d'Or(金羊毛勲爵士団)である。メニューには醸造所名はBrouwerij
Het Ankerとなっている。
残念ながら、この日はトリプル・トワソン・ドール(樽生)は無いということだった。ガウデン・カロルスGouden Carolus樽生は、ブラウン・エールで、さわやかとキレを感じる。色の割にコクを感じない★★☆。メッヘレン・ブライネンMechelschen Bruynen樽生は、英国風のエールで、かなり冷たい温度で出てきたせいか、水みたいで味わいを感じない。苦味すらあまり無く、飲み終わりころに紅茶の風味を感じた★☆。
この醸造所独特の無蓋冷却漕(オープン・クーラー)によるのであろうか独特の風味を持っているようであるが、野生酵母だけで醸されるランビック・ビールのような味ではない。
我々があまりに真剣にビールを味わっているので、店の人がメニューにないアンカー・ピルスAnker Pilsはどうですかと持ってきた。やや甘い香りとホップの香りがし、味わいにも甘味があるが水みたいに薄い。やや酸味が最後に残るビールであった★。
ややビールの味に期待はずれの感を残して、我々はこの醸造所を後にすることにした。なお、このカフェにも、昔使っていたビール醸造の器具や機械類の部品などが店のインテリアとして展示されている。
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左:Mechelschen Bruynen樽生 6% 70BF
右:Gouden Carolus樽生 7.5% 75BF
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アンカー・ピルスAnker Pils |
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古い機械の部品をカフェに展示 |
【データ】 |
Brouwerij Gouden Carolus (Het Anker) |
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(49 Guido Gezellelaan, 2800 Mechelen)Tel;015/203880
Fax;015/212107 |
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醸造所を後にして、暗くなったメッヘレンの街を歩く。道はどこも石畳である。この街のシンボルとも言える聖ロンバウツ大聖堂St.-Romboutskathedraal
もライトアップされ、美しい。
再びゆっくりと訪れたい街であると誰もが感じながら、この街を去った。
シェ・ムーデル・ランビック Chez Moeder Lambic
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カウンターにはクリスマスビールが並ぶ |
ブリュッセルに戻る。比較的早く帰ってきたのだから、今夜こそは、カフェ巡りを断行しなければならない。
行きたいカフェはたくさんあるが、日程的にもう今夜しかカフェには行かれないであろう。とすれば、種類の豊富なシェ・ムーデル・ランビックかビア・サーカス以外あるまいという選択の中、行きやすいシェ・ムーデル・ランビックに決めた。
プレ・メトロで再びオルタ駅を目指す。相変わらずオルタ駅周辺の整備がされておらず、フェンスを抜けて近道をする。
この店を訪れるのは3回目である。店に入ると、あのジョン・レノン風のマスターは髪型もメガネも変わらずに、カウンターに立っていた。席は以前訪れた時と同じカウンターの前のテーブルにする。このテーブルからは、カウンターに並べられたクリスマス・ビールの瓶が一目瞭然で見える。我々にとっては非常にありがたい席である。年を越し1月になったが、まだクリスマス・ビールが並べられている。
メニューを見るが、さすが1,000種類を誇る銘柄の豊富さにため息が出る。飲んだことがないビールの銘柄が並んでいることに大いなる歓びを感じてしまう。毎日この店に来てもすべてのビールを飲み尽くすまでにいったい何日かかるのであろうか。それを思うだけでもわくわくしてくるのである。
さて、さっそくカウンターに近寄り、クリスマス・ビールから注文する。まずはそれぞれ1本づつということで、Pére Noel(Brouwerij De Ranke、7% 33cl 110BF)とNoél Christmas Weihnacht(Br.Vera Vichte、7.2% 25cl 90BF)、Brouwerij Leroy Christmas(6.8% 25cl 80BF)の3種類をまず注文する。
次に、ワロニアのビールから珍しいFantôme de Noél(75cl 350BF 8%) を注文する。
ここで、川崎代官(古川)は、身体の不調の最高に達し、リタイアとなった。彼は、初めて来たこの店から一人でホテルに帰っていったのである。私は心配をしながらもかって一人で帰ったことがあるが、乗り換えなしの電車1本なので迷うことはないので、なんとかなるとは思っていた。
代官が帰ったあと、結果的に最後となってしまったがSublim(Brouwerij Piessens、8.5% 33cl 100BF)とWatou's Wit Bier(NV Van Eecke、25cl 5%)を注文する。
まず、Sublimの瓶が出てきたが、異常に瓶に泥が付着していて汚れている。マスターによるとこのメーカーは「4年前に火事があり今はもうない」ということで驚くが、つまり少なくても4年間熟成した古酒ということになる。それにしてもこの店の保管はどうなっているのであろうか。地下に保管庫があるのは前から知っていたが是非見てみたいものである。トイレに立った帰りにたまたまカウンターの床にある地下への入口が空いていて、地下からの明かりが見えた。マスターはその時丁度地下のビールを取りに行ったようだ。マスターに地下を見たい旨伝えたが、「それは不可能だ」という返事。不可能という言い方がおかしいが、誰にも見せないということのようである。
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左から Leroy Christmas、Noel Christmas Weihnacht、Pere
Noel、 Fantome de Noel、 Watou's Wit Bier、Sublim |
まだまだ飲みたいビールはあるが、残った我々も体調が思わしくないので、店を後にすることにした。
【データ】 |
Chez Moeder Lambic (68 Rue de Savoie , Brussels
St.Gilles) |
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Tel;02 539 1419 無休16:00〜4:00 |
(つづく)
5日目(1) 6日目(1)
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Copyright(C) T.Nawa 1999