酒蔵奉行所
有り得ないビール会(お土産ビール特集)
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主 催:酒蔵奉行所
日 時:平成16年5月22日(土)
     午後2時〜
会 場:酒蔵奉行所川崎支部
     (川崎代官所)
参加者:奉行・与力・川崎代官・鴻巣同心・ベティさん、中澤、桐生、エヌ柿、エフ柿、計9名

3月30日のベルギー帰国報告会で、一部与力のお土産ビールを賞味したが、今回は本格的なお土産ビール特集である。1月のベティさんのお土産、コクセンドンク1984年という超ヴィンテージビールも含め、集まったビールは20種類以上。いずれも日本には輸入されていないような珍しいビールばかり。気が付くと、29種類のビールを飲み干していた。
 途中、「こんな凄い会は他にはない。」「ありえな〜い!」の声で、今回は「有り得ないビール会」というタイトルに決定。

 【進行状況】
今回の開会時間は午後2時。なんとちょうどこの日、この時間は、河内屋で、シメイ・ブラックを52本だけネット販売する時間。パソコン所有者の代官が申し込む。無事1本購入。次の者がちょっと考えているうちに、販売予定数が残り9本になり、入力段階では、売り切れという事態になった。
さて、最初のビールは、ボステールス醸造所の珍品Deusデウスである。デウスとは「神」アルコール度数11.5%の究極のビールである。一般のビールに比べると、ベルギーでも非常に高価なビールでレア物。このビールが飲めるとは幸せである。
つぎにBoelensボーレンス醸造所のビール4種類。醸造所見学の折り、いただいてきたものだから状態は良いはず。かなり期待していた醸造所なのだが、BiekenPa-GijsWaase Wolfの3種類ともに実力を発揮せず。
 ボーレンス最後のHeerenbierは、2本あり、1本は醸造所からだが、もう1本は、レストランDe Heeren van Liedekerckeからもらった物。2本ともほとんど状態はかわらず、「これはいいネ」とやっと面目躍如。
「次も醸造所シリーズで行こう!」とBrasserie Saint-Donat。この醸造所は2002年から創業の新しい醸造所。こういうビールを見つけて購入してくるところが奉行所である。Tim Webbの本にもまだ掲載されていないこれらのビールの実力はいかに?と期待する。St-Donat BlondSt-Donat Ambreeをグラスに注ぐとすぐに「アンバーの色はなんだ?」。もっと濃くあって欲しい。ブロンドは結構いけるがアンバーは野生酵母のせいで酸っぱい。ダメ。St-Donat Bruneブリューンというよりスタウトのような感じ。
次はサン・モノンBrasserie Saint-Monon。「あれ!前はアンブリーAmblyって言ってなかったっけ。」Cuvée Ermesindeはお姫様の絵が有るけどなにか謂れがあるの?Saison de Maiは、セゾン・ビールなの?。5月のシーズン・ビールじゃないの。
ファントムは何。La Gourmande Biere d'epeautre de Hotton?プランタンみたい。澱を入れるとエテそっくり?
次は3本まとめて、アベイ3本セット。L'Abbaye d'AulneBlondBruneTriple Bruneの3種。特にTriple Brune。一番強いビールにトリプルを醸造するケースは多いがそのトリプルをブリューン仕立てにし、そう表示するのは珍しい。「トラピスト・ロシュフォールもこのタイプよ。」という突っ込みが入る。 L'Abbaye d'Aulneは昔、デ・スメット醸造所が造っていたが、今は修道院内にあるVal de Sambre醸造所が造っている。Les Bieres d'Abbaye Reconnuesには入っていない。
Bière du Lionは泡立ちがすごい。まるでデュベルのよう。
「澱がすごいねェ〜」「澱、多すぎ!!」「いいんだか、わるいんだか、よくわからない」。個性的なビール。
ここらで、「ベティさんのお土産のヴィンテージ・ビールを飲みたい。」「出しましょう!。」 その前に、Vapeur Rousseヴァプール・ルッス1994年。ラベルには1992年までしか賞味期限欄がプリントされていないが、王冠にBottled 1994の印字がある。栓を開けるとポンという音がして状態の良さを感じた。昔のヴァプールの味を知っているものは、みな口々に」これが昔のヴァプールの味だ。」「この酸味が本当のセゾン・ビールの味だ。」と絶賛。昔の味を知らない者も「昔は違っていたと聞いてはいたけど、本当に美味しいです。」などやはり絶賛。
 さて、次は本命のCorsendonk Agnus 1984 コルセンドンク・アグヌスである。ベルギーのビア・サーカスから特別に購入してきた物。瓶に澱があるので横にして保管してと言われ、丁寧に保存されてきた物。期待が膨らむ。が・・開栓の音が「スカッ」。香味に問題はないが、炭酸が抜けている。「魂が抜けたような感じ・・・」とは名言。
引き続き、今回のメイン。Malheur BrutMalheur Dark Brutの2本セット。デウスと同タイプのビール。
これさきはおまけ。Zottegems Grand Cruはクロンベ醸造所のもの。Père Noëlは、ドゥ・ランケ醸造所のもの。「持ってきたから飲んじゃおう!。」という勢い。
「ランビック見たいな飲みたいな。」の意見でランビックを並べていると、「まだ、こんなのあったの。忘れていた!」と、デュボック醸造所の1999 Bière de Fete (Feestbier) Cuvée Spéciale。瓶に印刷された絵柄が楽しい。「1999年を祝うのは2000年の前年だから」という意見は「?」との声も。
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ここまで22種類

ゲントのマスタード
◆講 評◆
銘柄 印象
Brouwerj Bosteels
1 Deus
Brut des frandres 2002

(11.5% 75cl)
 2本出品。アニス系の香り。シャンパン方式で造られるので澱はなくきれいに透き通っている。色はゴールド。バーレーワイン風でボリュームがある。
2本目は1本目よりも柔らかさがあり、こちらが上
デウスのラベルは当初2001年はドン・ペリ風の形だったが、訴えられてこの2002年は形状が変わった。マルール・ブリュットがヴーヴ・クリコ風なのに対抗してデウスをドン・ペリ風にしたのだと思われる。
Huisbrouwerij Boelens
2 Bieken
(8.5% 33cl)

 Bieは「蜂」の意で、ラベルに描かれた女性もミツバチに扮している。
 ハニーエールだが、ナッツの香味がする。ケルシュのようなウィート香がある。ゴールドで無ろ過。
 原材料は、水、モルト、ハチニツ、上面発酵酵母とだけ記載されている。ホップは書かれていない!
3 Pa-Gijs
(7.5% 33cl)

 1798年に起きたDe Boerenkrijgという事件の200年記念に醸造されたビール?
 酸味が結構強くローデンバッハに似たレッドビール的。色も赤茶色。
4 Waase Wolf
(6.5% 33cl)
+
ローストした香味がある。色は茶色。ナッティでコクがある。少しクセがある。
原材料は、水、モルト、小麦、上面発酵酵母と書いてある。ホップは書かれていない!
5 Heerenbier
(8.5& 33cl)
+
レストランDe Heeren van Liedekerckeのハウスビール。
ローストした香味が素晴らしいコクを生んでいる。
原材料は水、ホップ、カラメルモルト、上面発酵酵母と書かれている。
Brasserie Saint-Donat
6 St Donat Blond
(7% 33cl)
 2002年から創業の新しい醸造所。
 このブロンドはかなりの量の澱が見られる。無ろ過でボリュームのあるビール造りを目指しているようである。
期待できそうな醸造所である。
7 St Donat Ambree
(7% 33cl)
アンバーといっても、ブロンドに近い。ブロンドと比べないとアンバーだと解らない。
酸味が強すぎで、ワイルド酵母の影響を感じる。
澱はある。
8 St Donat Brune
(9% 75cl)
 スタウト的な味わい。かなりローストしている麦芽である。苦味、甘味が強調されている。
Brasserie Saint-Monon(/Ambly)
9 Cuvée Ermesinde
(8% 33cl)
Ermesindeエルメジンデは中世、リンブルク公と結婚したルクセンブルグ女伯の名か?。何か物語りがありそう!

かなりの澱がある。ホップの苦味も強くボリューム感がある。麦芽の甘味もあるが、それを隠すような苦味である。
10 Saison de Mai
(8.3% 33cl)
+
5月の季節ビール程度の意。ビールノタイプのセゾンビールではない。
甘く、クリアーな味わい。スパイスが入っている。
Brasserie Fantôme
11 La Gourmande
Biere d'epeautre de Hotton
(7% 75cl)
+
Hotton村のA la fermeのためのプライベートビール。Hotton村のスペルト小麦を使用したビール。
ファントム各種のうち初めプランタンに似ていたが、澱を入れるとオレンジピールが引き立ちエテに似てきた。
ちょっと甘味があって苦味もあるビール。ファントムらしい。
ブロジー醸造所のセゾン・デ・ポートルとはちょっと違った味わい。
Brasserie Val de Sambre
12 L'Abbaye d'Aulne
Bronde des peres sur lie

(6% 33cl)
醸造用水に金属的な硬質感を感じる。シリー醸造所のビールがそうである。
色はブロンド。澱はあるがキレイな感じ。
13 L'Abbaye d'Aulne
Brune des peres sur lie

(6% 33cl)
+
これも金属的風味。ほんのりアニスの香味。そんなに濃い感じでなく、キレイで軽い。
14 L'Abbaye d'Aulne
Triple Brune sur lir

(8% 33cl)
+
スパイシーでボリューム感がある。強い。
Brasserie Vervifontaine
15 Bière du Lion
(8% 33cl)

ストロング・ゴールデン・エール。ラベルのライオン像は、EupenにあるGileppeダムの中央にある像。
かなりホップのキャラクター(苦味)が強い。無ろ過のビールで澱が多すぎると感じるほど。香り高いが臭いと思うほど個性的でもある。
Brasserie a Vapeur
16 Vapeur Rousse 1994
(8% 75cl)
+
開けたときにポンと音がして、皆を驚かす。健全な状態。酸味がしっかりあって、昔のヴァプールの味。これぞセゾンビール。澱もある。
Brouwerij Corsendonk
17 Corsendonk Agnus 1984
(7.5% 75cl)
開栓時にスカッ。ちょっと心配。グラスに注ぐが泡立たない。気が完全に抜けている。色や香りは良い状態で変質した感じはない。良い状態で十分に熟成を重ねた感じ。発泡感がないだけのようで非常に残念である。もしかして、アルコールも飛んでいるかもしれない。
キャラメルを水で溶かすとこんな味かもしれない。
「魂が抜けたような感じ・・・」とはN柿氏。
Kleinbrouwerij De Landtsheer Emm. N.V.
18 Malheur Brut
(11% 75cl)
Brutはデウスに似て、アニスの香味がある。
シャンパン方式なので澱はないのだが、濃醇な味わい。

※このあたりから、講評はやや怪しくなってきています。
 
19 Malheur Dark Brut reserve 2003
(12% 75cl)
Brutにらにロースト麦芽を用いて甘さを加えたタイプ。濃醇な味わい。
Brouwerij Crombe
20 Zottegems Grand Cru
(8.4% 33cl)

麦芽のコクと甘味。意外とドイツビール的かもしれない。
無茶なレシピを用いないで正当なビールを造っている分、数あるベルギービールの中では少しつまらなくなった感じ。評判は高い。
Brouwerij De Ranke
21 Père Noël
(7% 33cl)

麦芽の甘味。ややローストしたアンバーなビール。苦味がある。キレイなビール。
ドゥ・ランケ醸造所は評判がいい割にはあまり感動のないビールである。ちょっと軽いというか、薄いというか。やっぱりキレイ。
Brasserie Du bocq
22 1999
Bière de Fete
(Feestbier)
Cuvée Spéciale

(7.5% 75cl)
麦芽の甘味とコク。かなりボリューム感がある。
さすがデュ・ボックといえるビール。
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ベルギービールの魅力
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