主催:ジャーディン・ワインズ・アンド・スピリッツ(株)
日時:平成11年11月9日(火)18時30分〜21時30分
会場:青山ダイヤモンドホール「エメラルドの間」
会費:12,000円
※奉行所から奉行・与力・川崎代官・清水夫妻の5名参加。 |
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Part 1 - "A Tour of the Wines of Italy with Hugh Jonson |
(要旨)
本日はイタリアワインのツアーです。この10年間、イタリアワインがファッショナブルになってきましたが、それは、白ワインによるものです。10年前にこのようなワインツアーをやっていれば、私は語るものがなかったでしょうが、今では2〜3日かかります。(笑)
これからイタリアワインの歴史の話をし、ボードに地図を書きます。
世界の中で突出したワイン生産国は、フランスとイタリアで、世界の半分の生産量にあたります。次ぎは有名ではないが、量ならロシア、アルゼンチン、そのあとにスペインや他のヨーロッパ諸国、アメリカが続きます。
フランスとイタリアの両国は、ブドウ栽培に最適な環境を持ち、知的な文化を持っています。未知の理由から、フランスは素晴らしいワインを生産し、イタリアはそうなりませんでした。
社会学見地から説明しようとする人は、イタリアの農家は、生産をわかちあうので、自分だけ生産を押さえて、よいワインを造ろうとは考えなかったと分析しています。
イタリアワインの話をするにあたり、「新世界のワイン」という感じで話をするのが適当です。それは醸造の技術が進歩し、かって生産されていたワインとはまるで異なるワインが生産されるようになったこと、フランスのブドウ品種が移植され、セパージュワインが生産されるようになってきたことなどによります。カリフォルニアやチリ、アルゼンチンと似ています。
イタリアの国は、長靴の形をしています。※ボードに地図を書き始める(上写真)。
ピエモンテとトスカーナ。この2つがイタリアでは重要です。アルプスの麓のフリウリは白ワインが美味しい地域です。
(その他、いくつかの地域の説明があったが、略)
今日のワインリストですが、飲む順番を入れ替えます。ワインテイスティングは、次ぎに味わうものが、さらに味わいが重なるような順番にします。例えば、ソーテルヌの次ぎにシャブリというのはダメです。そういう理由で1と2を入れ替えてテイスティングしていきます。 |
●テイスティングワインリスト●
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産地・ワイン名 |
ヴィンテージ |
生産者名 |
原産地呼称 |
1 |
Soave Classico Superiore |
1997 |
Azienda Agricola Pra |
D.O.C Soave Classico Superiore |
2 |
Principessa Gavia Gavi |
1997 |
Vini Banfi |
D.O.C.G.Gavi |
3 |
Serena (Sauvignon Blanc) |
1997 |
Castello Banfi |
D.O.C.Sant'Antimo |
4 |
Gaia&Rey (Chardonnay) |
1997 |
Gaja |
D.O.C.Langhe |
5 |
La Grola |
1995 |
Azienda Agricola Allegrini |
D.O.C.Valpolicella |
6 |
Brunello di Montalcino |
1993 |
Castello Banfi |
D.O.C.G.Brunello di Montalcino |
7 |
Barbaresco |
1994 |
Gaja |
D.O.C.G.Barbaresco |
8 |
Barolo Sperss |
1994 |
Gaja |
D.O.C.G.Barolo |
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1 Principessa Gavia Gavi 1997 Vini Banfi D.O.C.G.Gavi 2500円
作り手は、このワインのためにいろいろなことをやっています。非常に長い期間、澱に触れさせて、樽から樽に移すようなことなく、静かに置いておきました。ニューヨークに住んでいるジョン・マリアーニという者がアメリカで大手のワイン輸入業者をしていますが、マリアーニ兄弟が、安いワインを輸入して得た利益で、イタリアにおいて高価なワインに投資をしました。
ブドウの品種はコルテーゼ種といいますが、覚えなくてもいいです。このワインは、青味がかった色をしており、二酸化炭素が溶け出し弱い発泡感があります。
シャンパンのようにグラスから湧き上がってくる酵母の香りがします。
味はフィネスを備えていて、コクとか余韻といったものはありません。あたかもブドウを食べているようなワインです。
2 Soave Classico Superiore 1997 Azienda Agricola Pra D.O.C Soave Classico
Superiore 2400円
ブドウの品種はガルガネーガといいますが、これも覚えなくていいです。
このソアーベは、北イタリアにしては、非常に包容力があり、珍しいワインです。
色は、@とほとんど同じで、香りがなく、すぐに鼻に訴えてくるものはありませんが、・・・少しおくと花のような香りが出てきました。温度が低すぎますが、温まるにつれて、はちみつのような香りが出てきました。
口に含んだあと、フレーバーが口蓋に広がります。味は口に含むと満足感があります。
3 Serena (Sauvignon Blanc) 1997 Castello
Banfi D.O.C.Sant'Antimo 3000円
イタリアには新しく、サンセールと同じソーヴィニヨン・ブランが植えられました。ソ−ヴィニヨン・ブランは、普通は草の香味がしますが、このワインは全く違います。品種の個性を越える作りになっています。
イタリアでのソーヴィニヨン・ブラン種の栽培は、成功しているのでしょうか。世界には、白ワイン品種が多数あります。我々はリースリング種をよく忘れるので、リースリング種が活躍する場は多くありません。
ソーヴィニヨン・ブランは、その次ぎにくるマイナーな品種です。ソーヴィニヨン・ブランは、熟成しない、ガメイのようなワインとなります。4年たったらもう期待できません。
このワインは色が黄色いですが、品種がソーヴィニヨン・ブランと聞くとなお驚きます。普通は、@やAのワインの色をしています。味にはメロンを感じ、フィニッシュには、熟れたメロンや柑橘系の味がします。美味しく出来あがっています。
合わせる料理は、火を使った料理。
4 Gaia&Rey (Chardonnay) 1997 Gaja D.O.C.Langhe
14000円
イタリアでもトスカーナは古くから有名でした。ピエモンテは有名ではありませんでしたが、そこに一人の男が現れました。その男はネッビオーロ種でワインを作り、非常に高い価格で売りました。しかし、回りの者はその5倍の価値があるといいました。その男、ガイヤは天才です。
次ぎに彼は、ネッビオーロ種を抜いて、シャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンを植えました。カベルネを父の名「ドマージオ」と名づけました。
このワインは、やや緑がかった色をしています。フランスのオークの香りがします。
オークをなぜ焦がすかというと、まず板を曲げるためです。次ぎに焦げ味をワインにつけるため。キャラメルのような味わいが出てきます。
味は最後に、シャルドネの感じはありますが、やはりオークの味が支配しています。オークの香りというものを除くと、シャルドネの固有の香りというものは特にありません。ムルソーやオーストラリアワインのようです。少し新鮮でナーヴァスな感じです。
あまり、オーク味を誉めすぎると、作り手はみんなオークを使いたがる傾向になります。私は、ブドウ本来の個性を味わいたいものです。 みなさんはどうですか、オーク味ばかりのワインと、ブドウ本来のフーティさが感じらるワインとではどちらがよいですか。ちょっと挙手をしてみてください。
オーク味がよい人!・・・・・※挙手する人いない
フーティなワインがよい人!・・・・・・※多数の人が挙手
このことは、ガイヤに伝えます。(笑)
5 La Grola 1995 Azienda Agricola Allegrini D.O.C.Valpolicella 2900円トーメン
この生産者のアッレグリーニAllegrini家は、よい物を作れば、お金持ちになれると思ったファミリーです。
歴史的に、こんなヴァルボリチェッラが造られた事はありません。私が昔ヴァルボリチェッラについて書いた文章は、「早めに飲むこと!」でした。
ブドウ品種はこれも忘れてよいものですが、すべて土着の品種を使っています。土着の品種に自信を持って造ることができるのは、喜ばしいことです。
このワインのヴィンテージは1995年で、4年たっていますが、色がまだ赤、真紅です。ヴァルボリチェッラは昔は薄い赤でした。クラシコ・スペリオーレという表示は、オークで18ヶ月熟成させたということですが、新樽ではありません。
魅力的なフレーバーで、口の中で生き生きとし、口内はプラムと果実の味に満たされます。口の中で、いろいろなことが次から次に起こります。
長い余韻を持っていて、ほのかなオークの味がします。
なお、「ヴァルボリチェッラが旨い」と思わないでください。レストランで注文すると出てくるものは全然違います。生産者の名前を覚えましょう。
6 Brunello di Montalcino 1993 Castello Banfi
D.O.C.G.Brunello di Montalcino 8000円
ブルネッロは、この地で、100年前にビオンディ・サンティが造り始めたワインですが、バンフィが来てから有名になりました。
香りには、すべての果実が思い浮かびます。少し皮の香りがしますが、長い樽熟と瓶熟のためです。長い熟成期間が必要です。花のような味がし、質のよい収斂性があります。
7 Barbaresco 1994 Gaja D.O.C.G.Barbaresco
14000円
昔はワインを樽に長くいれていましたが、その理由として、@いつ醗酵が終わったのかわからなかった、A瓶詰用の瓶を買うお金がなかったということが挙げられます。農民は、ワインが売れるまで、お金が手に入りませんでした。ワインは、冬、醗酵が止まったり、また始まったりで、長く樽に入れて置くので、甘口にするか、タンニンだけのワインにするかどちらかしかありませんでした。
ガイヤは、これを改革しました。そして、タンニンとフルーティさのバランスの重要性を説きました。
このワインは、海藻とかオゾンの香りがします。きれいで純粋なものと言う感じです。果実というより花という感じです。
味わいは表現が一番むずかしいです。このワインには矛盾するものが両方感じられます。硬いものがあれば暖か味がある。タンニンと豊かさという対称的なもの、これらが共存しています。
8 Barolo Sperss 1994 Gaja D.O.C.G.Barolo 15000円
このワインも前と同じガイヤのものです。
アロマはすぐネッビオーロとわかります。焦げた味がします。たぶん新樽を使用しています。しかし、このワインは、いくらオークを使っても、それ以上に味わいがあります。7のバルバレスコと8のバローロとを比べると、バルバレスコは、今飲んで美味しいです。バローロはいろいろなものが戦っていて、偉大なワインになろうとしているのがわかります。
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Part2 - Buffe Dinner |
Aperitif
Moet&Chandon Brut Imperial
Wines to be served
上記の8種類
Digestif
Royal Tokaji Blue Label 1995, The Royal Tokaji
Wine Company
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