ピンクの象 と ピンクのカバ
デリリュウム・トレーメンス Delirium Tremens
(9% 33cl)
デリリュウム・ノクトルムDelirium Nocturnum
(9% 33cl)
デリリュウム・ミレミアムDeliriun Millenium 2000
(9% 33cl)

◆ピンクの象

ベルギービールには多数の銘柄があり、そのラベル・デザインを鑑賞することも一つの楽しみとなっています。楽しい図柄の多いベルギービールですが、中には変わったラベルもあります。
 その代表として有名なビールは、Huyghe醸造所の「デリリュウム・トレーメンスDelirium Tremens」です。ビール名は、「(アルコール中毒による)譫妄・震え」という意味でかなり衝撃的!。緑色のワニとかと一緒に「ピンクの象」が四隅に1匹づつ描かれています。ベルギーでは酔っ払って見る夢の中に最後に登場するのが「ピンクの象」だと言われているのをデザイン化したビールだそうです。
 そういえば、ディズニーのアニメーション映画「ダンボ」の中でも、ダンボが誤ってシャンパンを飲んで酔っ払った場面のあと、その幻覚の中でピンクの象たちが歌とともに踊る場面がありました。

さて、そのピンクの象も、最近3種類になりました。1つ目はオリジナルの「デリリュウム・トレーメンスDelirium Tremens」(ビールの色はブロンド)ですが、その発売10周年を記念して、1999年にブラウン色をした「デリリュウム・ノクトルムDelirium Nocturnum」が製造されました。この2つ目のピンクの象の意味は、(アルコール中毒による)毎晩の譫妄(せんぼう)状態といった意味でしょうか。象徴であるピンクの象が大きく1匹だけ描かれています。
 そして、2000年ミレニアムを記念して3つ目のピンクの象が発売されました。「デリリュウム・ミレミアムDeliriun Millenium 2000」(ビールの色はブロンド)。このミレニアムは8匹の象が地球の回りを取り囲んでいます。
 なんとも強烈なビールが、3種類も登場したものです。
 なお、「デリリュウム・ミレニアムDeliriun Millenium 2000」の中身は、「デリリュウム・トレーメンスDelirium Tremens」と同じという話もあり、2000年が過ぎたら、このラベルはなくなってしまうのかもしれません。

ピンクのカバ

パラノイアParanoia (6.2% 33cl)
「ピンクの象」のデザインで驚いていたら、ベルギーでもっと凄いビールに出会いました。それは、「パラノイアParanoia」というビールです。 「パラノイア」の意味を辞書で引くと「偏執病ヘンシュウビョウ。▽paranoia」とあり、より強烈な銘柄名のビールです。ラベルは、「ピンクのカバ」。このビールは、リエージュにある1,000種類のビールを置くという「ラ・ヴォードレーLa VaudreeU」という有名な店のメニューで見つけました。
 注文した「パラノイア」が出てくると、ラベルにあるピンクのカバは、なんと緑色の斑点に覆われ、如何にも病的です。大きなジョッキに入れられて出てきたことも意外でしたが、そのジョッキに描かれた斑点付きのカバの絵が、さらに病的な雰囲気を煽っています。このビールを知っている者ならば、ちょっと注文しないだろうなと思われる気持ち悪さ、悪趣味なグラスです。

 醸造所は、ヴィラーズVillers醸造所で、結構質の高いビールを醸造しています。以前飲んだ「トリプル・ヴィラーズTriple Villers(8.5%)」はスパイシーで素晴らしい味わいを持つビールでした。このパラノイアはアルコール度数6.2%で、味わいは濃醇でコクがあるビール。飲んでおいしいビールですが、やはり、瓶のラベルとジョッキの絵柄が気になってしまいます。変わりダネのビールを求める方にはお勧めかもしれません。
パラノイアのジョッキに描かれた「ピンクのカバ」の絵
なお、「パラノイアParanoia」を醸造していたヴィラーズVillers醸造所は、最近(1999年)倒産してしまったそうです。しかし、そこで醸造されていたビールの銘柄とレシピは、なんと「デリリュウム・トレーメンスDelirium Tremens」を醸造するHuyghe醸造所が受け継いだといいます。実際、すでにHuyghe醸造所製の「トリプル・ヴィラーズTriple Villers」等、日本にも輸入され始めています。Huyghe醸造所は、「パラノイアParanoia」の醸造も継続することを表明しているので、もしかしたら、日本にも輸入される日が来るかもしれません。

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