帽子を脱いだ修道僧
トラピスト修道院で作られるトラビスト・ビールは高い品質で味わいも良いので、評判です。その評判にあやかりたいと、修道院や教会、修道僧、ステンドグラスなどのデザインのラベルを用い、トラピストビールと間違えやすいビールが多数生産されています。となっています。これらは、すべてアベイ・ビールと呼ばれ、トラピストビールと区別されていますが、中には、トラピストビールを凌ぐような味も風味も非常によくできたビールがあります。このアベイ・ビールには、以下のようなものがあります。
  1. 実際にある修道院で、昔造っていたビールのレシピで民間の醸造所が契約により醸造するもの。
  2. 実際にある修道院だが、ビールは造っておらず、名義のみ貸しているもの。
  3. 今は無い修道院の昔のレシピで作るもの
  4. 修道院風の名称のもの。
トラピストビールを醸造する修道院では、トラピストの尊称を守るため共通のロゴをビールに使うことにしました。このロゴがないビールはトラピストビールではないということです。
 しかし、ラベルに修道僧が描かれたアベイ・ビールがいかに多いことでしょう。やはり、修道僧が描かれたビールは、修道院と何らかの関係があると誤解されるはずです。

↑Sixtusの文字が残るPater6
(1994年が賞味期限のもの)
↑Sixtusの文字が消えたPater6
2001年が賞味期限のもの
 さて、トラピスト・ビールでもっとも入手困難なビールは、ウェストフレテレンですが、そのビールを醸造するセント・シクストゥス修道院は、かって醸造設備が小く、近くの町あるセント・ベルナルディス醸造所がライセンス契約に基づき「St.Sixtus」というビールを醸造していました。
 しかし、新しい醸造設備が出来、このライセンス契約も1992年で切れました。セント・ベルナルディス醸造所は、契約が切れた後も「St.」をとっただけで修道院名のシクストゥスという名称を使い続けたので、修道院から抗議を受けました。そのため、ラベルからシクストゥス(Sixtus)の文字も消しました。
 それでも、もともと醸造所名にセント(St.=Saint)の名がつくうえに、ラベルのデザインは修道僧のままですから、相変わらずウェストフレテレンと関係があると思われてもしかたありません。
 そして、再び抗議を受けたようです。「修道僧の絵をラベルに使用してはならない。」と。セント・ベルナルディス醸造所は、修道僧の帽子と僧衣を脱がせたラベルを2001年から使用しています。
※でもあまりかわらないような気がします。以前から修道僧の偽善的笑顔が問題だと思っていましたから。ビールの味は、ウェストフレテレンより美味しいと思うことも多々あります。バナナの香りが素晴らしい。(奉行)
↑これも2001年賞味期限のPrior8 ↑帽子と僧衣を脱いだPrior8
2003年賞味期限のもの

さて、もう1つ紹介しましょう。
 今度は、Brasserie d’AmblyのLa Saint-Mononです。最近の新しいラベルでは、2種類の絵柄があります。
La Saint Monon Miel La Saint Monon Ambée
Saint Mononは、7世紀にスコットランドから来た宣教師ということなので、どこかの修道院からクレームが来たというわけではなく、デザイン的にこうなっているのでしょうが、ビールを持った僧の笑顔が、やはり気になります。

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