ベルギー国内のビール消費量
日本経済新聞(2003/10/30 14:00) によると、"「ビール王国」に陰り、ベルギーの個人消費量減少” とのタイトルで、以下の記事が掲載されました。

 【ブリュッセル29日共同】
 醸造所や銘柄の多さで「ビール王国」といわれるベルギーで、国民1人当たりのビール消費量が年々減っていることが29日、国家統計局の調査で分かった。
 減少の原因については分析していないが、アルコール飲料の多様化や国民の健康志向などライフスタイルの変化が影響しているとみられる。
 調査によると2000年の1人当たりのビール消費量は98.2リットル。その後、97.1リットル(01年)、95.1リットル(02年)と年々減少。02年は1993年の106.4リットルと比較すると約11%も少なくなった。
 しかし、量産銘柄の消費減に比べ、トラピストと呼ばれる修道院内でつくられるビールやランビックなどの自然発酵ビールは現状維持か消費増が続いており、統計局は「消費者は量より質を重視するようになった」と分析している。
 この10年間に1人当たりのジュースの消費量は32%、ミネラル水は33%、ワインは17%それぞれ増加している。
 ベルギーのビール醸造協会のドゥブラバンダー氏は「飲酒運転の取り締まりが厳しくなったことも消費減の大きい要因ではないか。しかし、輸出が伸びているので生産量は増加している」と話している。
上記の記事が正しいのかどうか、Le Journal du Brasseur誌(June 2003)から以下の表を示そう。一番右側の列が一人当たりの消費量である。2000年99リットル、2001年98リットル、2002年96リットルという数字で、国家統計局の数字を小数点以下を切り上げた数字となっており、記事前段どおり個人の消費量が年々減っているのが分かる。
つぎに、トラピストやランビックなどが現状維持か消費増が続いているという話であるが、これについて、次の表を見て欲しい。
トラピスト、そしてアビイを含めたビールは、生産量が増えている。同様にランビックが増えているかというと、Gueuze/Fruitsのところを見ると、ここ数年一貫して減少していることがわかる。どうもランビックについては、この記事は怪しい。
 最後に、ビール以外のジュースやワインとの比較であるが、95年を100%としての表がある。ビールは落ち込み、ジュース、水、ワインなどが増えているのが分かる。
こうしたことから、ビール業界が危機感を強めていることが推測できる。最近、コカ・コーラをイメージしたビールや甘口ランビックビールでも果汁の混入率を高め、アルコール度数を減らしたものなど新商品が次々に開発されるのはこうした背景があるためと思われる。

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