◆カール5世(1500〜1558)
カール(スペイン=カルロス、仏=シャルル)は1500年、時の神聖ローマ皇帝マクシミリアンを祖父、スペイン王フェルディナンドと王妃イサベラを母方の祖父母としてゲントに生まれました。幼少期はメッヘレンで育ち、その後1516年、16歳でスペイン王カルロス1世として即位。フランス王フランソワ1世と神聖ローマ皇帝の座を争い、1519年、神聖ローマ皇帝カール5世として、ヨーロッパからアメリカまで「陽の沈むことのない帝国」の領主になりました。
カール5世統治下、ネーデルランドは繁栄期を迎えました。
◎グーデン・カロルス GOUDEN CAROLUS
グーデン・カロルスGouden Carolusは、カール5世が幼少期を過ごしたメッヘレンにあるヘット・アンケル醸造所が醸造するビールで、この銘柄の元、3種類のビール(オリジナル、キュベ・ド・カイゼル、トリプル)があります。
グーデン・カロルス(カロルス・ドール)とは「黄金のカール」という意味で、「カール5世の金貨」のことです。
ビールのラベルのデザインが金貨のデザインと思っていたら、違っていました。金貨のデザインは上の写真です。
◎ストロプケン STROPKEN
フランスやトルコとの戦いに多大な戦費が必要でしたが、繁栄するネールランドがその財源でした。しかし、高い税金にゲントの市民は怒り、税の支払いを拒否しました。カールの軍隊は町を包囲し、責任者を処罰し、特権を剥奪。指導者に対し、苦行僧の格好をさせ、縛り首の縄を首につけて裸足で町を歩かせました。
毎年7月には「処罰者の行列」という祭りが開催され、ゲント近くにあるヴァン・ステーンブルグ醸造所では、この故事にちなみ、ストロプケンSTROPKEN(縛り首の縄)というビールを製造しています。
ストロプケンという名のビア・カフェもフランドル伯城近くにあり、当然ながらSTROPKENを飲むことができます。
◎シャルル・カント Charles Quint
カール5世をフランス語読みすると、シャルル・カントになります。Charles Quint(Br.Haacht、9%)は、取っ手付きの陶器で飲むという変わったビールです。取っ手の由来は以下のとおり。
アントワープから東へ約30km。オーレンの町で、カール5世はあるインに立ち寄り、そこのレストランでビールを注文した。宿屋の主人が大ジョッキの取っ手を持って渡そうとしたためジョッキを受け取ることができなかった。そこで、カールは主人に金のコインを与え、これを使ってもう一つ取っ手をつけるように指示。主人は早速それに従った。しかしながら、またしてもカールは大ジョッキを受け取るこができなかった。というのも、主人今度は両方の取っ手を持ってしまったから。それならと、もう1枚の金のコインで3つ目の取っ手を取り付けた。しかし、今度は主人が3つ目の取っ手を自分の体に向けた状態でカールにジョッキを差し出してしまったため、結局カールは最後までジョッキを受け取れなかった。
この日からこのインは「3つの取っ手が付いたジョッキ」で有名になり、オーレンにはこのジョッキを形どった泉がある。
※ベルギー トラベル マニュアル2000(ベルギー観光局発行)より
しかし、実際には、取っ手が3つのものと4つのものあります。地方によってこの話が異なるということです。取っ手が4つあるということは、最後にもう1つ取っ手を付けさせ、カールはビールが飲めたということでしょうか。
なお、このビールには、取っ手の付いていない通常のガラスのグラスもあります。
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取っ手が3つの陶器の器 |
取っ手が4つの陶器の器 |
取っ手のないグラス |
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