Achel アッヘル(St.Benedictussaddij/Achelse Kluis)
ベルギーのトラピスト・ビールに、1998年12月から6番目の新しいトラピスト・ビールが仲間入りしました。修道院の名前はセント・ベネジクトゥス修道院で、醸造するビール名はアッヘルAchelです。歴史
17世紀からの修道院で、フランス革命による破壊ののち、ウェストマレ修道院の僧たちによってトラピスト修道院として復興しました。聖ベネジクト修道院は1845年に建てられ、ビール醸造を行っていましたが、第1次世界大戦中の1917年、ドイツ軍が醸造釜を持ち去ってから約80年間ビール醸造は途絶えていました。
醸造
ウェストマレで42年間醸造に携わり退任したトーマス神父が醸造責任者として招かれ、若いトムを助手として、ビールを醸造していました。
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醸造作業中のTom Ponceletさん(2001.1) |
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その後、トーマス神父が病気になったので、トーマス神父の推薦により、アントワーヌ神父が招かれ現在ビールを醸造しています。アントワーヌ神父は、この修道院の妹分にあたるロシュフォールの修道院(ノートルダム・サン・レミ修道院)で長らく醸造責任者としてビール醸造に携わっていた方です。
※トーマス神父とアントワーヌ神父は、マイケル・ジャクソン著『地ビールの世界』(田村功訳)にも、それぞれウェストマレとロシュフォールの項に登場しています。
醸造するビールは、当初Blond 4とBlond 6、Brune 5の3種類で、醸造所併設のブルーパブで飲めるだけでしたが、2001年夏からブロンドの8の瓶ビールの生産を開始し、つい最近2002年5月、Achel
Extra Bruin 8というブラウンのビールの醸造も開始され、現在5種類のビールが存在しています。
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※左からBlond 6 Brune 5 Blond 4 |
不思議なのは、トーマス神父はウェストマレでアルコール度数7%のダブルや9%のトリプルという強いビールを醸造していたのに対し、アッヘルでは度数の低い4、5、6を醸造していることです。また、アントワーヌ神父は、ロシュフォールでは6、8、10の3種類のブラウン色のビールを醸造していたのに対し、アッヘル8は、ブロンド色のビールです。2人の神父はその昔彼らが醸造していたビールとは異なるタイプのビールを醸造しています。年老いてもなお、新たな挑戦をする2人の意気込みを感じます。
味わい
味わいは、ブロンド4はアルコール感が弱く、薄く味わい不足の感★★。ブロンド6は、ホップの苦味が利いていて、バランスも取れていてイケル口★★★。ブリュヌ5はカラメルモルトの甘さとまろやかさとともにホップの苦味が利いているがまあまあといったところ★☆。どれもろ過されていて他のトラピストビールの偉大さには全く匹敵しない。出来の悪い日本の地ビールみたいである。時間とともに味わいがストンと落ちて、水みたいになってしまいます。(2001年1月)
瓶のアッヘル8は、4、5、6からは想像もできないくらいビールの質が高まっています。ウェストマレと関係があるというので、比較にウェストマレ・トリプル、そして、ちょっとデュベルにも似たところがあるのでデュベルも含め3種類のビールの飲み比べを行ってみました。アッヘル8は結構いい線いっています。ウェストマレ・トリプルの強烈な個性にはかないませんが、やわらかい独自のスタイルを作っています★★★☆。アッヘル8の登場により、やっと6番目のトラピストビールの誕生を祝うことができました。(2001年12月)
位置
修道院はベルギーとオランダの国境にまたがり、かろうじて醸造所がベルギーにあるという理由でベルギービールとして認められています。
下の地図をご覧ください。赤い線が国境で、北(上)がオランダで南(下)がベルギーです。修道院が国境上にまたがって建っていることがわかります。そして、醸造所は黄色の丸印の場所にあります。ベルギービールと認定されていますが、結構きわどい判定ですね。
しかし、醸造責任者が、ウェストマレとロシュフォールの醸造責任者だったことを考えれば、文句なくベルギービールであるといえるでしょう。
新ビール
アッヘルのホームページによると、2002年5月からAchel Extra Bruin 8というブラウン色で8%のビールの醸造が始まったということです。このビールは瓶詰めされています。瓶の形はブロンド8と異なっています。
アントワーヌ神父はロシュフォール8の味わいをアッヘルで再現したともいえるでしょう。日本への輸入が待ち遠しいですネ。
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