前 | 次 |
第6回ベルギー王国ビール探訪記(9)
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Boortmalt (ボールトモルト社)船が通り過ぎ橋が通行できるまで待つほど暢気ではなく、遠回りでモルト会社まで行く。 我々が訪れたBoortmaltボールトモルト社は、ベルギーに本社を置く、世界的な麦芽製造メーカーである。全世界で308,000 t 、アントワープでは内110,000 t を生産している。アントワープ港は、ヨーロッパで2番目に大きい港で、デンマーク、ドイツ、フランス、イギリス、オランダ、ベルギーなどの大麦がこのアントワープの工場で麦芽にされて、すぐに港から出荷されていく。非常に立地条件がよくその分、安く麦芽が供給できるのだという。 はじめに、1924年に創業した最初の工場(Boortmeerbeek工場)のオフィスに行く。
しばらくオフィスに留まった後、再び移動。Antwerpen工場に向かう。こちらは1987年に穀物ターミナルSOBELGRAを買収して得たものである。
Peter De Schouwerペーター・デスカウエルさんの案内で工場を見学する。工程は簡単で1.麦を水に浸す。2.発芽成長させ麦芽にする。3.麦芽を乾燥させる。4.成長をストップさせる。9日間でこのサイクルを行うということであった。 こうして完成したモルトは穀物ターミナルで保存され、すぐ側に接岸する運送船やトラックに麦芽が積まれ、醸造所に送られていく。 見学が終わり、ここで、デスカウエル姉弟と別れ、我々はブリュッセルに戻った。
ブリュッセルへ
このあとのスケジュールは、ブリュッセルのホテルで解散なのだが、以前尋ねたことがあるブッシュ・ビールのDubuissonデュビュイッソンさんが我々のホテルに尋ねてきて、車でルーヴァン・ラ・ヌーヴにある自分が経営するブルー・パブに連れて行ってくれるという話であった。 Le Brasse Temps (ブラス・テンプ)
Le Brasse Tempsは、まさしく地ビール・レストランである。ルーヴァン(ルーヴェン)大学が言語戦争により、1968年に2分し、フランス語学生がルーヴェン・ラ・ヌーヴのルーヴァン新大学に通うことになった。500年の伝統を誇る大学が2分するという凄い事件である。この新ルーヴァン市は大学のために新しく作られた町である。こののLe Brasse Tempsも学生が利用することを前提とした店になっている。 メニューには、スパゲッティやハンバーガーなどお手軽な料理が並んでいる。ここで醸造するビールも当然メニューにあるが、アルコール度数が4.5%、5.5%といったブッシュ・ビールの強いイメージとは全く異なるビールを造っている。これは、やはり学生相手で酔わないビール造りを目指したものと言える。
さらに、Bush Blond 樽生(10%)-ろ過されている。やや甘味がありコクよし。スムーズな喉越し。まろやかだが、アルコール感あり。★★★ Bush Amber樽生(12%)-ろ過されている。強いアルコール感がコクを生むが、実は単純なスパイシーさと苦味。苦味が主張されたビールとして可。★★★。 Bush de Noël樽生(12%)-色が瓶物よりも薄い。充実していたはずの味わいのバランスが弱まっている。つまり水で薄めた様。ただし、薬味のみは変わっていないというバランスである。★★☆。
食事も終わり、デュビュイッソンさんは醸造設備を説明してくれるという。 この設備で醸造されているビールは、先にも書いたLa Cuvee des Trolls、 La Ambrasse-Temps、 La Blanche-Nevreの3種類である。 ルーヴェン・ラ・ヌーヴのルーヴァン新大学に通う学生を顧客とするので、ビールのアルコール度数もそこそこ抑えてある。ベルギービールがこんなビールでいいのかとも思えるし。ましてやブッシュ・ビールとは全く異なる造りに違和感を覚えた。(※結局、2003年廃業に及んだ。) ここで、デュビュイッソンさん運手の車に同乗したした者たちは、恐怖を味わうことになる。ブリュッセルとの往復は高速道路を使用するが、帰りのデュビュイッソンさんは、完全に酔っ払っていたのである。もともとベルギー人は、ヨーロッパ人の中でも危険な運転をするということで評判らしいが、センターラインを右ヘ左へふらふら。私は、体が大きいので、助手席に座るよう行きも帰りも言われて座っていたが、まさしく恐怖の体験。無事ブリュッセルに到着して、ホッと一安心である。 ホテルに皆到着し、解散。
ホテルにてホテル到着。だがブラス・テンプでも満足できるビールをまだ飲んでいない。とにかく美味しいビールをとことん飲みたい。ルーヴァン・ラ・ヌーヴに出発前にちょっと買出ししておいたビールを部屋で味わう。'S Lands Souvenirs'du Terroirは、リンデマンがスーパーGB用に造るクリーク。甘味も有るが、クリークの風味がかなり強い。スムーズでフレッシュ。旨い★★★。 ベルギービールで謎のビールはJohn Martin社のビールである。元はインポーターで英国の醸造所にベルギー向けのビールを委託醸造させ、輸入していた。それをベルギーの醸造所に委託醸造先を変えて醸造しているのだが、醸造所は不明である。結構有名なビールなので大きい醸造所だと思われる。そうした身分不詳のビールなので、私は基本的に避けてきたビールである。John Martin's Original Aleは、アルコール5.8%のいわゆる(英国のエールに似た)ベルギーエール、Pale Aleである。苦味が強くBitter、発泡感が強いのでいつまでも喉の奥に残る。意外としっかりした味わい。カンゾウのスパイスが効いていて好みが分かれそう。ろ過されたビール。★★★。 Leffe Tripel 8は、レフ・シリーズの中で唯一日本に正規輸入されていないビール。このトリプルだけが醸造所を異にするためだろうか。味わいはレフ・シリーズの延長上にあり、フルーティな香り。コリアンダー風味で濃醇な口当たり。スパイシーさがある。泡立ちよく、発泡感があり、濁っていて、これぞベルギービールであると主張している。★★★。 次に、ゴロワーズ・シリーズ3種類。La Gauloise Blondは、ほんのり薄く濁るが、キレイで軽い。コリアンダー味★★☆。La Gauloise Ambréeは、やや硬質感がある。これもほんのり薄く濁るていどでクリアー。苦味とスパイシーさがある。★★☆。La Gauloise Bruneはかなりスパイシーであるがローストされた麦芽の甘味とコクが感じられるボリュームあるビール。★★★。
|
|
|