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第5回ベルギー王国ビール探訪記(6)
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De Koninck デ・コーニンク醸造所まず最初、ブルワリーのゲストルームというか醸造所内のビアカフェに通される。案内は、輸出担当のフレッド・ボナールスFred Bonaersさん。そのあと、まず、醸造所の古い設備を見学する。赤レンガの建物である デ・コーニンク醸造所は、長らく唯一「デ・コーニンク」という銘柄のみ醸造していたが、1993年、'Antwerpen 93' (アントワープの年)に、「Cuvee Antwerpen 93」を醸造。その後、「キュベ・デ・コーニンク」として醸造を続ける。1999年、'Antoon Van Dijckyear'(画家アントン・ファン・ダイク生誕500年)を記念して「アントーン」を醸造。現在3種類の定番ビールを醸造している。 古い麦芽破砕機。モルト2種類とホップの説明を受ける。カラメル・モルトはキュベ・デコーニンクに、ペール・モルトはアントーンに使用する。副原料は一切使用しない。ホップはチェコ産のザーツホップオンリー。ペレットでなく、新しいものを乾燥させたものを使用している。また、イーストはマル秘とのこと。 古い醸造設備を見学。開放式の発酵槽などを見る。 これらの設備は現在使用していないという。開放式の発酵槽は自然酵母が入ってしまうという。
その由来は、アントワープ市の境界に、'De Plaisante Hof(愉快な庭)という場所があった。そこは中世には絞首台があり、犯罪者が死刑にされていた場所である。アントワープとベルヘムBerchemの境界にあたるPlaisante Hofの前には石の境界を表す石碑があり、商人が街に入るのに税金を取っていたが、この石碑の場所までは税金がかからなかったという。 実際、この石碑にはベルヘム側には手のひらが描かれ、「ここまで」という意味を表している。アントワープ側は手の甲が描かれている。 このtoll handはデコーニンクのラベルに描かれている。デ・コーニンクのこの手のデザインは、アントワープ市の象徴であるブラボーが持つ巨人の手首かと思っていたが、それは間違いであることがわかった。(でも石碑は右手、ラベルは左手であるのが不思議) そして、1833年に醸造所が開業した時には、この石碑があることから、「De Hand」(ハント)という醸造所名で呼ばれた。現在のデ・コーニンクが使われるようになったなったのは1845年からである。 昔は、アントワープにも数多くの醸造所があったというが、今は唯一の醸造所となっているという。(※’Pakhuisのことは無視しているようだ。) 古い醸造設備とは規模が違う。あまりにも巨大な設備である。これらはコンピュータールームからコントロールされた最新の設備である。こうい設備を見せられ、いかに衛生的で安定した醸造ができるか説明を受けても、どうも感動が起きない。 その後、醸造所内の邸宅部分を見学し、古い醸造道具などを見た後、ふたたびゲスト・ルームに戻る。そこで、ビールを試飲。
このときいただいたビールは2種類で、一つはANTOON 樽生。フレッシュで軽快。なめららかスムーズ★★★★。もう一つはデ・コーニンクのクリスマス・ヴァージョンでKERSTBIER DE KONINCK 樽生。アルコール度数が通常より高い6.5%もあるにもかかわらず、これもすいすい飲めてしまう★★★★。グラスは、Bollekeボールークー。
山田さんは、醸造所に頼んでおいたというビールの守護聖人アルノルドスの木彫りの像を受け取り、非常に満足気。 このあと、醸造所の向かいにあるカフェ・ペルグリムPelgrim に一緒に行きましょうということで皆で向かう。
Café Pelgrim ペルグリムメニューには、デ・コーニンク醸造所の樽生ビール3種類以外には、ベルギー以外の国のビールも含めて13種類載っているだけである。お店の客は、ほとんどの人がデ・コーニンクを飲んでいる。
ビールは、まず、醸造所のカフェで味わえなかったCUVÉE DE KONINCK(瓶)をまず飲む。アルコール度数が8%あるのでコクが豊かなビールである。これに酵母を少し加えてみる。さらにコクや風味が増す。次にDE KONINCK 樽生で試す。 ANTOON 樽生でも試す。 入れた酵母は生きている酵母であって、瓶底の澱とはまた異なるものである。よく瓶の澱を入れた場合、コクが増すが雑味も増す。しかし、この生きている酵母の液体を入れた場合、雑味感は全く無く非常にクリアーなコクとなってビールがとても美味しいのである。 本当は酵母をビールに入れてはいけないようだ。ちょっと酵母の苦味を味わってからビールをいただくのがこの店の流儀らしい。
De Villaこのお店には、紙に書いたメニューがないという。その日その日の食材でメニューを変えるので、メニューは口で説明するのだという。醸造所の人も含めた10数人のグループの真中で、メニューを英語で説明をし始めた。どうもノルウェー・サーモン、仔牛フィレ、鹿フィレの3種類から選べばよいらしい。私は鹿フィレで、レアで注文した。 料理に合わせる飲み物は、さんざんこの日飲んだデ・コーニンクビールではつまらない。ビールはやめてワインで行く。最初は、シャンパン。次に白ワインは、ドメーヌ不明だが、コルビエールの白1999年。赤ワインは、コスティエールド・ニームのCh.de Nages1999。 もちろん、このレストランは醸造所の人が連れてきただけあって、ビールはデ・コーニンク。テーブル上にはデ・コーニンク・グッズで溢れている。
さて、会計。以前、ボステールス醸造所の人たちと会食した際、ごちそうになったことがありが、今回ももしかしたらということを山田さんは思っていたらしい。しかし、なんということ、醸造所の人たちは、我々がごちそうすると思って一緒に来たらしい。道理でいっぱい付いて来たわけだ。「え〜。我々がごちそうするの〜?」 醸造所の人たちとはレストランで別れ、我々はブリュッセルへ戻った。
ホテルにてこの日後半、デ・コーニンクばかり。夜、眠れないので購入していたビールを飲む。ROMAN OUDENAARDSは軽く発泡感あるが、泡立たない。リーフマンと同じブラウンエールだが、完全にろ過されていて今一つ★☆。ベルギーで飲まれているビールの約7割がピルスナータイプのビール。小さな醸造所でもピルスナーを醸造している。今日本ではベルギービールといえば、何らかのスペシャルビールというイメージだが、ステラ・アルトワやマースより絶対旨いピルスナーだって存在するはずである。そう思ってちょっと異端ではあるが、ピルスナーも買ってみた。LOUWAEGE'S PILSは、私の思惑とははずれ、やや味わいのあるピルスナーではあるが、ちょっと酸味があって個性というよりクセのあるピルスナー。残念ながら高得点とはならなかった★☆。PASSENDALEは新しいデュベル・モルトガット醸造所の製品。ブロンド・アンバービールと書いてあるが明るいブロンド。泡立ちはデュベルのように非常によい。濁っていて香り高い。ちょっと酸味がきになる作り。★★☆
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