第5回ベルギー王国ビール探訪記(16)

6日目(4) ランビックの日
6. Oud Beersel アウド・ベールセル
7. 3 Bronnen ドリー・ブロネン

 Oud Beersel アウド・ベールセル

 ベールセルの町というのは、私にとってランビックの聖地のような土地である。それは、オウド・ベールセルという本当に小さな、でも地元の人たちにとても愛されている小さなカフェがあるからである。ドリー・フォンティネンもあるが、このアウド・ベールセルこそがランビックの伝統・真髄を今に伝えているような気がする。このカフェに立ち寄らないと、ランビック詣は完結しない。今回で訪れるのは3回目。

ドリンク・メニュー

Lambik 樽生(右)
(5.7%)
Geuze(左)
(6% 75cl)

Kriek
(6% 75cl)
※瓶からのもの
 席につくとお決まりのランビックLambik 樽生を注文。発泡感はなく泡立ちもない。紅茶の様な味わいで,さわやか。柑橘系の味がする。若いランビックはどうしてもグーズと比べるとビールとして完成していない、未熟なものと感じてしまうが、アウド・ベールセルのランビックは飲み物としてのランビックとしては完成品★★★。
 Geuzeは大瓶から注がれたもの。 発泡感があり、酸味もちょうどよい。バランスの取れた素晴らしいグーズ★★★★。
Kriekも大瓶から注がれたもの。結構酸味が鋭く刺激的。フレッシュで非常においしい★★★★。

グーズを注ぐ

自動オルガン (26秒)

ランビックを愉しむ地元の人々

昔のポスター
 今年も自動オルガンの演奏を聞かせてくれた。1930年代制作のオルガンはカフェの大きさに比して大音量で音楽を奏でる。堀江さやか嬢は、オルガンの調律の悪さが気になってしょうがない様子で、笑っている。いつもはオルガンの演奏はしない静かなカフェなのだろうが、遠い日本という異国からのわざわざ来たということで、大サービスなのか我々が店にいる間、何曲も続けて演奏され、途絶えることがなかった。地元の皆さんには静かな語らいの時を奪い、ご迷惑をおかけしました。
 
 店内では、ビール3本箱入りのセット物の販売などあり、入手困難なアウド・ベールセルのビールを購入できて満足。
【データ】 Oud Beersel
232 Laarheidestraat, 1650 Beersel
Tel: +32 (0)23 80 33 96
※2002年末に閉鎖

 In de 3 Bronnen ドリー・ブロネン

 店名は、3 Bronnen ドリー・ブロネン。Bronnenを蘭語辞書で調べると、湧き水、泉の意味である。「3つの泉」がこの店の名前である。マイケル・ジャクソン著の邦訳『地ビールの世界』」p104には『ドレー・フォンテネン(3つの泉)』、『ドレー・ブロンネン(3つの井戸)』との記載があり、ずうっとそのとおりだと信じていたが、大間違い。Fonteinenを調べると「噴水」。3つの泉のほうが、3(Drie) bronnenであって、3(Drie) Fonteinenの方は「3つの噴水」が正しい。ドリー・フォンティネンのオリジナルグラスにも噴水が描かれている。
3 Bronnenのメニュー
 メニューを見ると、ランビックビールを含め、約50種類のビールが掲載されている。ランビックには特にこだわった品揃えである。この店の売りは、なんと言ってもKriekelambik in huis gemaarkt (fait maison)自家製クリークランビックである。極めて残念なことに、この日はこのビールが無く飲むことができなかった。

HANSSENS Gueuze
HANSSENS KRIEK

GIRARDIN Lambik Van't Vat
 HANSSENS Gueuze(Gueuze Br.Hanssensとメニューに記載)は、750mlの瓶から注がれた。酸味のバランスが素晴らしい。完全な満点★★★★。これを越えるグーズは無い。HANSSENS KRIEK(Kriek van de fles Br.Hanssensとメニューに記載)も瓶(Fles)。酸味とコク、そして熟成感がありこれも素晴らしい味わい。満点★★★★。
 珍しいものにGIRARDIN Lambik Van't Vatジラルダン・ランビック樽生があった。これをみんなで注文すると2リットルのピッチャーをカウンターの裏に持っていって、ランビックを入れて持ってきた。味わいは柑橘系の果実の味。「これはハッサクの皮」との声もあった。ランビックとしては完成度が高い★★★☆。

ハンセンス・グーズの瓶を注ぐ

ジラルダン・ランビックを注ぐ

落ち着いた雰囲気
 カフェの壁には、ベールセルの町の写真が2枚飾ってあった。どちらも年代が記されていないが、1枚は相当昔の、もう1枚はやや最近のものであろうか。どちらも同じ場所から撮影されたものであるが、街並みが変化していない。
 店を出て通りを見ると、その写真はドリー・ブロネンの前の通りの写真であることがわかった。そして、現在も全く変わらず街並みが残っているのである。
【データ】 Café 3 Bronnen
Hoogstraat 13, 1650 Beersel
Tel : 02/311.07.20

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