原材料
原材料は、1回の仕込みで、小麦35%(450kg)、大麦麦芽65%(850kg)、ホップ(22kg)を使用する。なお、小麦はブラバント産の麦芽にしていない小麦、大麦麦芽は数種類の麦芽を使い分けている。なお、有機栽培の麦芽を使用し始めた。
ホップは古いホップを使用する。あくまで保存のためなので、苦味がきつくならないように古いホップを使用する(通常の約3倍の量)。 |
小麦・大麦麦芽・ホップ |
|
麦芽の袋にはBiologischeの文字がある。 |
|
穀物倉庫 小麦、大麦麦芽、ホップの保存には通気性の良い屋根裏が適している。 |
麦芽 |
|
ホップ(Hallertau Hersbruckの文字が見える) |
|
麦芽粉砕機 屋根裏(3階)の穀物倉庫から麦芽が投下されると下の階(2階)にある麦芽破砕機で、破砕される。粉砕の度合いにより、ろ過の具合や取れるビールの量が変わるので重要である。 |
|
マッシング槽
破砕された麦芽は、さらに下の階(1階)にあるマッシングタンクに送られる。粉砕された小麦と大麦麦芽合計1300kgをタンク中央の攪拌プロペラによりお湯と混ぜ合わせる。2時間で温度は45℃から72℃になり、糖化が起こる。ここでプロペラを止め、静置し、二層に分離したのちお湯を加える。小麦と大麦麦芽の糖分が溶け出た液体をウォートと呼び、ポンプで上の階のボイリング・タンクにポンプで移される。 なお、タンクに残った粕は家畜の飼料として利用される。 |
マッシングタンク |
|
攪拌プロペラ |
|
ホップ・ボイラー ボイラーは赤銅製で、2基ある。ちょっと外観は異なるが、中を見るとホップとウォートを混合するプロペラと、蒸気を循環させるコイルがあることがわかる。 煮沸前の約10,000リットルのウォートに約20kgのホップを加える。2つのタンクで約3〜4時間ボイルされ、殺菌する。この間2,500リットルが蒸発し、糖分の濃度が高くなる。
煮沸後に残った7500リットルのウォートはフィルターでホップを取り除く。 |
|
冷却槽 7500リットルのウォートは、ポンプで屋根裏の冷却槽に移される。冷却層は赤銅製で、浅く表面積を広くとった形状をしている。これにより、効率よくウォートが冷却され、空気に触れることになる。
ウォートは18度〜20度に冷却されるのが理想で、冷却は夜間に行われる。寒い期間にしか冷却できないので、ビール造りは10月下旬から4月初旬にかけて行う。 |
|
|
ウォートの蛇口 |
|
|
|
|
天井の隙間
天井には無数の穴が空いており、外界と部屋の中は、空気が移動できる。夜間、天井の隙間から、冷却層の上に天然の酵母Brettanomyces Lambicus(Bruxellensis)が降り注ぐ。ウォートは40度まで下がると、天然の酵母が根付きはじめる。 |
天井から漏れる外の明かり |
|
Brettanomyces Lambicus |
|
ステンレスタンク 翌朝、冷却されたウォートはステンレスタンクに移され、最終的に温度とプラトー度(酵母により、アルコールに変わる糖分の量)が調整される。 |
|
樽貯蔵室
ウォートは、カシワ材か栗材の650リットルの樽11個と250リットルの樽26個に詰められる。
数日後、自然酵母とウォートの糖分が反応し「自然発酵」を始める。始めは発酵が激しく、3〜4日間は樽の蓋を閉めず開口しておく。口からは白っぽい泡が出てくる。1樽で5〜10リットルのウォートが失われるという。
4〜5週間過ぎると、今度はゆっくりした発酵が始まり、樽は密閉される。このブレンドしていない状態がランビック・ビールであり、複雑な発酵が最低3年間続く。
ワインと異なり、蒸発し目減りした分を樽に補填することはないので、3年間で約20%目減する。 |
|
ろ過機
瓶詰めの際には、ビールをポンプで大樽に移動するが、その際、沈殿していた酵母がビールの中に入り濁るのを防ぐため、フィルターでろ過する。セルロースの詰まった5層のフィルターは酵母の死骸はろ過するが、瓶の中で再醗酵するのに必要な糖分は通過する。 |
5層のフィルター |
|
調整タンク |
|
ボトリング ボトリングは1時間に1200本のスピードで瓶詰めされる。コルクで栓がされたあと、夏に高温でコルクが飛ばないように、さらに王冠で栓がされる。
瓶はベルトコンベアーで貯蔵庫に運ばれる。 |
|
貯蔵室 貯蔵室には全体で60,000本のビールがストックされている。瓶内再発酵に最低6ヶ月かかり、市場に出すまでに約3年かけているという。 |
|
|
瓶は交互に上手に積み重ねられている。 |
|
ラベル貼り、出荷 醸造して樽で3年、瓶で3年もの月日を発酵、熟成したビールは、ラベルを貼られて市場に出て行く。 |
ラベル貼り機
※クリークのラベル貼り作業途中 |
|
樽にもラベルが貼られる。
写真は、カンティヨン・ヴィネロンの樽生 |
|