第5回ベルギー王国ビール探訪記(11)

5日目(2) トラピストの日
4. Baarle-Nassau,Hertog バールレ・ナッソウ/ バールレ・ハートフ
5. Het Brouwershuis

 Baarle-Nassau,Hertog バールレ・ナッソウ/ バールレ・ハートフ

 カフェ・トラピステンをあとにし、車は東に向かう。ウェストマレの町の中心部を過ぎ、今度はOostmalleオストマレを抜け、Turnhoutの町の環状道路をぐるりと回って北へ向かう。しばらく進むとオランダ国境で、オランダ国内に入る。
 次の目的地は、Baarle-Nassau,Hertog(バールレ・ナッソウ/ バールレ・ハートフ)と言う町で、この町は、ベルギー国境を越え3キロほどオランダ国内に入った所にある。800ヘクタールほどのベルギー領の飛び地があり、そこがバールレ・ハートフBaarle Hertog。オランダとベルギーとの境界線は入り組み、ベルギーの土地の中にさらにオランダの飛び地が6箇所ある。周囲にも小さな飛び地があって、合計22のベルギーの飛び地に約2,200人のベルギー人が住んでいる。オランダ領の方は、Baarle Nassauバールレ・ナッソウという町の名で、併せてBaarle Nassau-Hertogと呼んでいる。一つの町だが、国が2つなので、行政機関や学校、教会などもそれぞれ別にある。
 国境の上にまたがるように建っている家も多く、そうした家には、ベルギーとオランダ両国の国旗が描かれている。

 Het Brouwershuis

 さて、バールレ・ハートフにまで来たのは観光のためではない。この町には700種類のビールを扱うというとんでもないビア・ショップがあるからである。店の名前はHet Brouwershuisといい、Tim Webbの著書Good beer Guide Belgium&Hollandによると700種類のビールを置くのは他にRoeselareのYves Steekbierenだけであり、この数はベルギー最高の品揃えの店ということになる。ビア・カフェも経営していて、我々が訪れた時刻は、ちょうどお昼を過ぎた頃なので、ここで食事を取ろうという計画である。 
 店に入ると、ビールが陳列されている。それもそ凄い数である。みな食事のことなど忘れて、ビール棚をチェックし始める。さきほどカフェ・トラピステンで見たウェストマレ・トリプルの大瓶、Boonボーンのマリアージュ・パルフェ、まだ(当時)日本に輸入されていないビールだらけである。知らない醸造所のビールもある。オランダのビールも若干あるので、注意しないと誤って購入してしまうかもしれない。ついつい入念なチェックとなってしまう。
 この店オリジナルラベルのビールもある。店の店主が僧の服装に仮装して撮影した写真がラベルに描かれている。ランビックビールの瓶そっくりなので、「ランビックか?」と訪ねると「違う。セゾンだ。夏のビールだ。」という。本当にセゾンなのか?。シリー醸造所に委託して造ってもらっているようである。もう一つはご当地ビールでベルギーとオランダの国旗が描かれたバールレ・ハートフの町にちなんだビール。なんとセント・ベルナルドス醸造所で醸造されている。Wëllen OurdallerというブランドのビールはルクセンブルクのCornelyshaffという醸造所のビールであった。
 欲しいビールは山ほどあるが、すでにホテルの部屋にはブイヨンやアントワープの酒屋で購入したビールがたくさんある。これ以上、ビールを買えば、部屋で飲みきれないし、日本に持ちかえる限度を越えてしまう。それでも欲しいビールはある。「買わないで後悔するより、買って後悔する」精神で、ビールを購入する。あとで買おうと思っても、もうそのビールに出会わないことが多い。「あのとき買っておけば・・・」とあとで後悔しても遅いのである。これは、これまでのベルギー旅行における教訓である。それぞれ、ビールを購入して箱に詰めてもらう。
 店主は、我々が大量に買ってくれるので大喜び。
 ところで、店はカフェにもなっていて、奥にも一部屋、2階にも一部屋ある、客席数の非常に多いカフェとなっている。ビア・サーバーは5本あり、そのうち4本に樽生ビールが繋がれていた。特に2階の部屋には古いビール瓶やビールジョッキなどが陳列されており、ビールの博物館のようである。
 食事も取らねばならず、あまり、ビール選びにばかり時間を割くことはできないのだが、いつのまにか時間が経ってしまっている。すでにメニューを見ている者から、「凄い」との声が聞こえており、私も手にとって見ると、ビールの販売が700種類あるだけあって、ビア・カフェのメニューも700種類ありそうである。さらにクリスマス・ビールだけ別冊になっていて40種類も揃えている。
メニュー
 次のアッヘルに向かう時間が迫っていた。メニューを見ているだけで、結局は食事を取る時間がなかった。当然ビールを飲む時間もなかった。「バールレ・ハートフまで、はるばる国境を越えてまで何をしに来たんだろうね。」と言いながらも、ビールファンにとっては、かけがえのないビールをたんまり購入できて大満足であった。
 今回のビールツアーは、どうもビールの買出しツアーの様相を呈して来た。
 なお、細井先生ご夫妻には、食事もできず、あまり楽しくないバールレ・ハートフであったことをお詫びするしかない。箱に詰めてもらったビールを車に積んで、Het Brouwershuisをあとにした。
【データ】 Het Brouwershuis
Molenstraat 42, 2387 Baarle Hertog Tel: +32 (0)14 69 94 03
火〜木、土日10:00〜18:00、金10:00〜20:00、月休

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