クリークをたしなむ会
蔵くら月例試飲会2003年12月
日時:平成15年12月6日(土)
    午後5時〜

会場:地ビールハウス蔵くら

会費:4500円

※奉行所から、奉行、鴻巣同心(参加者は全11名)
下北沢にある「地ビールハウス蔵くら」であるが、最近ベルギービールへ傾倒する傾向が強まっている。ベルギービールの品揃えも増え、お店のキャッチフレーズも「〜東京・下北沢の地ビールとベルギービールの専門店〜」となり、ベルギービールファンとしては嬉しい限りである。
 さて、毎月開催の蔵くら月例試飲会であるが、今回はベルギービール、それもクリーク特集するということなので、我々も参加することにした。
 当日配付されたA6版の小冊子には、これらのビールや醸造所についての解説が非常によくまとめられており、この冊子を入手しただけでも価値がある。
出品ビール
クリークをたしなむ会
参加者は11名で、3つのテーブルにそれぞれ3〜4名が着席。 
 出品されたビールは、ランビックのクリークのほか、クリークを使用しているフルーツビールやクリークにちなんだビールが14種類。
1 Belle-Vue Kriek
 Brasserie Belle Vue
 5.3% 37.5cl (輸入:大月酒店)
 5.2% 37.5cl (輸入:小西酒造)
 5.1% 33cl缶 (輸入:シャンパンハウス)
輸入元違い、瓶と缶の違いを味わう。アルコール度数がそれぞれ異なる。なお、アサヒビールが輸入するベル・ビュー・クリーク樽生の公式アルコール度数は約5%。
 缶は各テーブルに1缶づつ。瓶はテーブルによって輸入業者がまちまちであったので、各テーブル交換しあいながら味わう。 
 シャンパンハウス輸入の缶ビールはやや焼けた感じ。泡立ちは一番よいが薬っぽい。クリアーさがあるが、茶色味おびている。★
 大月輸入のものは、色が濃くクリークの色を鮮やかでフルーティ。スムーズな喉越しで果実味が味わえる。甘味を付けたクリークなど飲めないという本格ランビック好きの方にもこれは飲む価値あり。ベルギーで飲んだ缶クリークのフレッシュさを思い出させてくれた。★★★
 小西輸入のものは賞味期限2004.7のもの。ドライな感じがして大月物と比べ物にならないほどかわいそう。☆
 
2
Oud Beersel Kriek
 Brouwerij Oud Beersel
 (Henri Vandervelden)
 5% 37.5cl
 (輸入:大月酒店)
この日は種類が多いので、味がわかるうちに美味しいビールを味わう。すでに閉鎖(2002.11)されたオウド・ベールセルのクリーク。各テーブル1本で3本の出品。
 フルーティで果実味、酸味すべてにバランスよく仕上がっている。★★★★+
3 Boon Kriek 2002
 Brouwerij Frank Boon NV
 5% 37.5cl
 (輸入:小西酒造)
フランク・ボーンの通常品のクリーク。ヴィンテージが2002年で最新のもの。各テーブル1本で3本の出品。
 果実味が不足し甘いジュースの様。クリークにはもう樽の使用をやめステンレスタンク100%というが、そういう味。4リットルに1キログラムのサクランボ使用。★
4 Boon Oude Kriek 1998
 Brouwerij Frank Boon NV
 6.5% 37.5cl
 (輸入:小西酒造)
以前マリアージュ・パルフェと呼ばれていたもの。5リットルに1キログラムのサクランボを使用。各テーブル1本で3本の出品。
 果実味の凝縮感がある。10年・20年の熟成が可能だが、このボトルにはドライ感や、老ね感もでていて、トラブル気味。よいボトルはいつも★★★★だが、今回は評価を控える。

5 Cantillon Kriek
 Brasserie Cantillon SPRL
 5% 75cl
 (輸入:大月酒店)
小西酒造が小瓶(37.5cl)を輸入しているが、その大瓶。全体で1本出品。
 カンティヨンは最も酸っぱい部類のランビックを生産する醸造所。このクリークにも特有の酸味を感じるが、飲み口がスムーズで軽い。1リットルに200グラムのサクランボが使用される。
6 Cantillon Cuvée Lou Pepe Kriek 2001
 Brasserie Cantillon SPRL
 5% 75cl
 (輸入:小西酒造)
1リットルに300グラムのサクランボを使用し、フランス・ボルドーのサンテミリヨンからの中古のワイン樽で熟成。さらに瓶詰めまえにビールから造ったというリキュールを少量ブレンドする。全体で1本出品。
 普通のクリークより圧倒的に色が濃く、酸味も強い。カンティヨン健在との印象を受ける。★★★★

7 Hanssens Oude Kriek
 Gueuzestkerij Hanssens
 6% 75cl
 (輸入:大月酒店)
1樽に240パウンドのサクランボを漬け込む。全体で1本出品。
 別格の味わい。酸味だけではなく相当複雑な味わいで、かつバランスがよい。ブラッセルズ輸入ものもあるが、この大月輸入ものを飲むのは初めて。意外とクリアーでスムーズな飲み口。ハンセンス・クリークはいつもクリークと思えないような薄い赤茶色の水色をしている。★★★★+++
8 Kriek de Ranke
 ※LOTN.00004
 Brouwerij De Ranke
 7% 75cl
 (輸入:小西酒造)
西フランドル州の醸造所。この地方独特の酸味の利いたビールにサクランボを入れたもので、Echte Kriek、Liefmans Kriekなどと同分類されそうなビール。違いは、ジラルダンのランビックを25%使用していること。全体で1本出品。
 スムーズな飲み口でクリークの味はするが、ランビックの味ではない。★★★☆

9 Drie Fonteinen Kriek “Schaerbeek”
 Brouwerij 3 Fonteinen
 6.0% 75cl
 (輸入:ヴォナイオータ)
2003.1.17瓶詰めされたもの。私はこの日ドリー・フォンテネンを訪れ、この瓶詰め作業を見学し、試飲したので想い強い。2本出品で瓶による味わいの相違を比べて欲しいとのこと。高価なビールを惜しげも無く2本出品する蔵くらさんに感謝。
 本来のクリークの有るべき姿を具現化したようなビール。樽香味、果実味、フレッシュさすべてにおいて完全なクリーク。 
 2本の瓶での評価は、参加者まちまちではなく、輪ゴムを付けて区別した瓶に人気が集中した。★★★★+++

10 Bloesem Bink
 Brouwerij Kerkom
 7.1% 33cl
 (輸入:大月酒店)
 完全なるクリークのあとは余興。ラベルに桜の花が描かれているという理由でケルコク醸造所のブルッサムビンクの登場。各テーブル1本で3本の出品。
 ケルコム醸造所も今年1月に訪れた。ラベルの花は実は洋ナシの花。蜂が描かれているとおり、とおりハチミツ入りのミエールである。ホップの苦みとハチミツの甘さ。スムーズに飲める。ランビックの酸味のあとには場違いか、別の機会に再び試したいビール。★★★

11 Kriekdebie
 Brouwerij De Bie
 6% 33cl
 (輸入:大月酒店)
チェリー果汁を入れたフルーツビール。各テーブル1本で3本の出品。
 ホップの苦味がある。これにもラベルに蜂が描かれているがハチミツの甘さは感じない。これも別の機会に再び試したいビール。★★★
12
St.Louis Kriek
 NV Brouwerij Van Honsebrouck
 4.5% 25cl
 (輸入:やまや)
 ここから再び甘味を付けたクリークが再登場。じつは、ここで手作りケーキが出され、デザートタイムとなった。
 このビールは西フランドル州のランビックタイプのビールでランビックではない。
 砂糖の甘さ、変質したクセが感じられる。☆
13 Timmermans Kriek
 Brouwerij Timmermans NV
 5% 25cl
 (輸入:池光インタープライズ)
 賞味期限2004.12の表示がある。甘いがさわやか、スムーズに飲める。状態は悪くない。★★
14 Chapeau Kriek
 Brouwerij De Troch BVBA
 3% 25cl
 (輸入:伊藤忠メイビス)
 いまはもうベルギービールの輸入から撤退した伊藤忠メイビスのもの。もう日本から姿を消そうとしているレア物になってきたが、バランス悪い。★
終了後
クリークをたしなむ会終了(21:30)後も、我々はそのままお店に残り、メニューにあるベルギービールを味わうことにした。
 ベルギービールの種類は、以前来店したときと比べ、格段に増えていると同時に、珍しい入手困難なビールの品揃えに驚く。下北沢という立地もあってか価格的にお手ごろな値段設定なのも嬉しい。
 さっそく、いただくことにした。
1 Leute Bokbier
 Brouwerij Van Steenberge
 7.5% 33cl
 (輸入:大月酒店)
 ドイツのボックビールタイプ。まず、オリジナルグラスの形状が面白い。
 私はパウエル・クワック、リュート・ボック、ゼルノドゥの3つのビールグラスをベルギービール変り種3傑としている。
 ちょっと酸味も感じられる黒ビール。
 
2 La Gauloise Brune
 Brasserie Du Bocq
 8.3% 33cl
 (輸入:大月酒店)
 デュボックのゴロワーズ。ローストした麦芽の香味がリッチでよい。
3 Kerst Pater Special Christmas
 Brouwerij Van Den Bossche
 9% 25cl
 (輸入:大月酒店)
 
奉行持参のクリーク特集(試飲会パート2)
今回のクリークをたしなむ会における出品ビールの品揃えは凄いもので、私は補完して、究極のクリーク会の実現を意図していた。期も熟したころ、山田さんにお願いして、私が持参したクリークを一緒に味わうことにした。
 なお、参加者は、奉行、鴻巣同心、山田あゆみさんのほか、クリークの会にご参加され、まだお店にお残りの吉本さん(ホームページhttp://www.h3.dion.ne.jp/~nero/)、藤間さんのお二人にもお付き合いをお願いして5人で味わう。
1 Belle-Vue Kriek Primeur'93
 Brasserie Belle Vue
 5.2% 25cl 
ベルヴュー・クリークには、ボジョレー・ヌーヴォーと同様、新酒がある。それは毎年3月末に登場する甘いチェリーを漬け込んだクリークで、プリムールとよばれている。毎年ラベルや王冠のデザインが変わる。
 さて1993年物は10年も熟成させたクリーク。まだ、酸味も残り楽しめる。熟成した老ね感があり、色は退色して茶色味を帯びている。〔参考★★★★〕

2 Belle-Vue Kriek Primeur'94
 Brasserie Belle Vue
 5.2% 25cl 
1994年のベルヴュー・クリーク・プリムールは、かなり老化しして紹興酒のような香りと味がする。色は退色していて茶色味がかっている。〔参考★★〕

3 Belle-Vue Kriek Primeur'98
 Brasserie Belle Vue
 5.2% 25cl 
1998年のベルヴュー・クリーク・プリムールはやや老味あるが、まだクリークとしての果実味を残している。甘いクリークのクセ味がそのまま残っていている。〔参考★★☆〕
1
2
3
4 Cantillon Kriek 1995
 Brasserie Cantillon
 5% 37.5cl 
 (輸入:小西酒造)
カンティヨン・クリークの昔のラベル。コルクを開けると1995年のヴィンテージが表示してあった。色は退色してグーズの様。味もグースのような酸味。クリークとしての果実味は消えている。カンティヨンのフルーツ・ランビック(ル・ペペ以外の)すべてに言えることだが、熟成させると果実味が消えてグーズのようになってしまう。フ・フンしかり、ヴィネロンしかり。
 澱を入れると、ハンセンスのような複雑な香味になる。
〔参考★★★★+〕

5 Timmermans Kriek Tradition
 Brouwerij Timmermans NV
 5% 33cl 
 ティマーマン・クリークの通常品は甘味を付けたビールであるが、このトラディション・シリーズは甘味を全く付けない伝統的スタイルのシリーズ。ベルギーでもなかなか見かけないレア物。さきの通常品には甘味と薬味が感じられる。残念ながらろ過しているようで濁りが無くクリアー。瓶底にほんの少し澱がある程度。もう少し酸味が強いと素晴らしいビールなのだが。★★★☆

6 Jacobin Kriek Max
 N.V.Brouwerij Bockor
 4% 25cl 
 ヴァン・ホンセブロック醸造所のサン・ルイ・クリークと同じ系統。サン・ルイ・クリークにはクリークの比率を高めたプレミアム・クリークがあるが、ジャコバン・クリークにもやはり比率を25%高めたプレミアム物があり、それがクリーク・マックスである。
 砂糖で甘味を加えてあるので、甘味や薬味が顕著。クリークのフルーティさは強いが好みではない。ハンドキャリー物なので品質はよく、のみやすくはある。★★★

7 Girardin Kriek
 Brouwerij Girardin
 5% 75cl
 (輸入:ヴィナイオータ)
 リストにないクリークだが、究極というには欠かせないクリーク。以前小西酒造で入れたものが飲めない代物で不評をかったジラルダンだが、ヴィナイオータのリーファー物の登場で、面目躍如。実は私はジラルダン・クリークの始めの香りが好きではない。南仏の安ワインによくある腐敗臭を感じてしまう。
 今回も同じだが、ある程度時間をおくとそのクセは消え、本来の実力を発揮してきた。素晴らしいあじわい。さすがドリー・フォンティネンがウォートを仕入れる醸造所だけある。★★★★
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ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連
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