Foodex Japan 2005
FOODEX JAPAN 2005
第30回国際食品・飲料展

日時:2005年3月8日(火)〜11日(金)
    
場所:幕張メッセ

※3/9、3/11に入場(奉行)
【来場者数】 *( )は前回規模
天気 来場者数(人)
3月8日(火) 20,616 (23,638)
3月9日(水) 25,226 (26,885)
3月10日(木) 24,627 (28,996)
3月11日(金) 21,973 (25.968)
合計   92,442 (105,487)
 国内最大の食のイベント、フーデックス・ジャパン2005が幕張メッセで開催された。
 今年も「事前登録証」が送付されてきたが、例年同封されていた「当日入場登録カード」は今年は入っておらず、入場の枠を狭めたようである。そのためか、主催者発表の来場者数も昨年を下回っている。(右表)
 とはいえ、全国から熱心なフードサービス、流通、小売業、そして飲食店の方々が多数来場し、新しい食材や情報、ビジネスチャンスを求めて会場内は賑わっていた。
 海外出店ゾーンのベルギーブース出展者は次の通り。世界のビールを扱う日本ビール(株)と(株)池光エンタープライズは、別にブースを設けていた。
出展者
BBIC-ベルギービール広報センター
トーシンブラッセルズ(株) / ワロンビール促進センター(トーシンブラッセルズ(株)内)
  BRASSERIE DE BRUNEHAUT ブリュノォ醸造所
BRASSERIE DUPONT デュポン醸造所
BRASSERIE LEFEBVRE ルフェーブル醸造所
BRASSERIE ST-FEUILLIEN サン フーヤン醸造所
BRASSERIE DE MALONNE SPRL マローヌ醸造所
えぞ麦酒(株)
  BRASSERIE DE SILENRIEUX シランリュウ醸造所
インベブ / 小西酒造(株)
ユーロパブインポーツ(有)
 今回ベルギーから醸造者として来日したのはブリュノォ醸造所とサンフーヤン醸造所の2つとエクスポーターとしてBrasserie de Malonne(マローヌ醸造所)である。さらに目ざとい来場者はBrasserie de Silenrieuxの新製品L'Autruche(ロトルシュ)を見つけ、出展者と活発に商談する姿が見られた。この間、私は2日間ほど会場を訪れ、各出店ブースの方々からベルギービール関連の動向をお伺いした。 
 なお、ブリュノォ醸造所のギィ・バルスキャルトGuy Valschaertsさんとは1年ぶり、また、ビールと関係ないが、我々が2003年にベルギーを訪れたおりベルギーチコリの生産農家等を案内してくれたグリート・デスカウエルGriet DE SCHOUWERさんが、フランダース農業協会のブースにおり、久しぶりの再会に旧交を深めることができた。
 ここでは、ベルギービールに関してレポートする。
各ブースの様子
インベブ/小西酒造株式会社
 昨年はインターブルーInterbrewの名で出店していたが、ブラジルのアンベブAmBevと経営統合したので、今年はインベブInBevの名で出店していた。輸入総代理店の小西酒造株式会社のブースである。
 ブースでは、主にヒューガルデンホワイト樽生の試飲提供で、希望すればとレフ・ブロンド樽生も試飲出来た。その他小西酒造が輸入する瓶ビールがあり、毎年盛況である。
 また、昨年、青山表参道エリアで開催されたヒューガルデン・ホワイト街頭テイスティングキャンペーンは、今年は青山表参道エリア(5/27,28,29)に加え銀座エリア(6/3,4,5)でも開催予定とのことで、ヒューガルデン・ホワイトのファンがこの夏、一気に増えそうである。
 特に新規扱いのビールがあったわけではないが、小西酒造には、ベルギービールの普及の中心役として、定番商品の定着化を目ざして今後も頑張っていただきたい。
ベルギービール広報センター
ベルギービール広報センターについて資料を引用すると、「ベルギービール広報センターの設立目的は、日本市場においてベルギービールの啓蒙および普及を促進させ、より一層ベルギービールの需要を高めることにあります。主な事業は情報の提供、セミナー開催やその他のプロモーション活動です。」とある。
 ブースでは小西酒造、三井食品(シメイ)、日本ビールが輸入するビールの試飲を行っており、輸入各社から担当が応援に来て各社輸入のベルギービールについてPRを行っていた。ベルギービールの各種タイプを揃えてあるので、ベルギービールをまだよく知らない者にとっては、各種タイプの味の違いについて比較し理解することができたのでないだろうか。
 ここでは、お手伝い中のシメイ正規輸入代理店三井食品(株)の水橋さんにお会いしたが、シメイブルーの2005年新ビンテージが3月中には日本に届くという。
ユーロバブ・インポーツ(有)
ユーロバブ・インポーツの出店も2年目。アイリッシュ・パブの世界ではイギリスのホブゴブリンを輸入する会社として有名である。InBebのステラ・アルトワの瓶、缶、樽生ビールの輸入し提供している。
 1926年、クリスマスのためのスペシャルビールとして誕生しただけに、日本の大手ラガービールと比べると麦芽の風味が強く、プレミアムラガーとして宣伝されるのも、うなずける味わいである。
 なお、ベルギーでもっとも売れているビールはこのステラ・アルトワであり、このピルスナータイプのビールが消費の70%を占めている。 
トーシン・ブラッセルズ(株)/ワロンビール促進センター

Dominic Friartさん
ブリュノォ醸造所、デュポン醸造所、ルフェーブル醸造所、サン フーヤン醸造所の4つの醸造所の紹介。ベルギーでもワロニア地方の小さな醸造所のビールを輸入している。いつの間にか「ワロンビール促進センター」という組織?がトーシンブラッセルズ内に出来ていた。
 さて、ビールは、樽生ビールを常時4種類接続し、1つの樽が空くと別の種類の樽を繋いでいた。他社が扱うヒューガルデン・ホワイト樽生、レフ・ブロンド樽生、ステラ・アルトワ樽生にプラスして、ブラッセルズの各種樽生ビールの品揃えを見ると、ベルギービールはもう瓶ビールの普及を越えて、樽生ビールの普及を呼びかけているようである。ベルギーに行かなければ樽生ビールが飲めない時代は終わったと感じてしまう。
 今回、ブラッセルズのブースで来日したのはブリュノォ醸造所のGuy Valschaertsさんとサン フーヤン醸造所のDominic Friartさん(妹さん)である。
   
 
Guy Valschaertsさんと
ブリュノォ醸造所のGuy Valschaertsギィ・バルスキャルトさんとは、最終日にお会いできた。毎年フーデックスでお会いするので、ギィさんも歓迎してくれブースの中に招き入れてくれた。
 昨年お伺いして以来、さらに疑問となっている点がいくつかあったので質問してみた。
まず、昨年聞いた話をまとめると
 新しい銘柄のRaméeについて、ラメ・アンバーは、ローストしたWheat小麦を42%仕様のウィート・エールで、ローストしていなければ、ホワイト・ビールの範疇にはいる。ラメ・ブロンドはドイツ・ビール純粋令どおりで、大麦麦芽とホップだけで作る。
 ラメは、Bière Artisanaled D'Abbayeとラベルにあるように修道院と関係がある。だが、ラメ修道院は14世紀に出来た修道院ではあるが、過去ビールを造っていた事がないので、アベイビールとは言えない。ビールのレシピは、当然修道院にないので、自分で考えた。
ということであった。確かに1年前のその時は、ラメにBière Belge d’Abbaye Reconnues(アベイビール組合)のマークは入っていなかった。ところが2005年になって新しく届いた瓶の裏ラベルを見てビックリ。昨年聞いた話と違う。これはフーデックスで是非伺いたいと思っていた。この1月にベルギーに行かれたボア・セレストの山田さんからは、アベイビール組合の話は聞いていて、その事務所は何とBelgian Brewers(ベルギービール醸造所組合)にあるということ。修道院との契約は?ロイヤリティはどこへ払うのか?などいろいろ疑問があったので合わせて伺ってみた。

Raméeの裏ラベル(2004年)

Raméeの裏ラベル(2005年)
ギィさんの答えは
  1. ラメには(現在は宗教施設ではないが)修道院が建っていて、(名称の使用の契約はあったが、今度)そこと新たにアベイの契約を結んだのでロゴマークを使用し始めた。昨年はまだアベイの契約はしていなかった。
  2. アベイビール組合はBelgian Brewers(ベルギービール醸造所組合)内に事務所がある。
  3. ロゴマークの使用の許可を得るには、修道院(又はその名称の管理者=例えば修道会)との権利関係を結んだという契約文書をアベイビール組合に提出し、アベイビール組合から、ロゴの使用の許可を得る。
  4. 修道院名の使用に係るロイヤリティは、アベイビール組合にではなく、直接修道院(又はその名称の管理者=例えば修道会)に支払う。
というものであった。
 どうもアベイビールとは「修道院のレシピに忠実に従って作られたもの」ばかりではではないようである。しかし、それではコマーシャルに欠けるのか、ラメのホームページを見ると、ラメは13世紀初頭まで遡る起源を持つビールであると紛らわしく書かれている。
 トラピストビールのロゴは、トラピストビールとしての伝統・味わいを保証するマークとして機能しているが、アベイビール組合のロゴは、修道院のレシピで造られているビールであることを保証しているマークではないようだ。
 アベイビールは、ロゴの有無に関係なくあくまでも醸造者の良心によって、修道院のレシピによったり、トラピスト風のビールを目指したりして作られているビールなのである。
   ☆
 ギィさんはブース内で日本の発泡酒を飲んでいた。サッポロの「Draft Oneドラフトワン」である。我々に向って「このビールは美味しくないですね。このビールには果汁を入れると美味しくなって、売れるようになると思いますよ。」という。ベルギーでは果汁入りビールが大流行で、フーデックス会場でも展示してあった Grisette Fruits des Bois もその一つ。日本でも果汁入りの缶チューハイがブーム。我々もギィさんの考えに同意し、実はアサヒビールで「フルーツブルワリー」という発泡酒がすでに発売されていることを伝えた。
 ギィさんはその日の予定が忙しく、昨年は終了後イドロパットで一緒に打ち上げたが、今年はもうすぐ会場を去らなければならないといって、ここで一杯飲みましょうと、ブリュノー・アンバーの瓶を我々に注いでくれた。「また、来年会いましょう!」といって、ギィさんはその日の会場を後にした。
 ブラッセルズのブースは、ブラッセルズ各店から店長級の方々が日々ローテーションで担当されていた。最終日は雨とあって、スタッフの方々全員、ブースの撤去、資材の搬出等、雨に濡れながらの作業でお疲れ様でした。
えぞ麦酒(株)
有名人、フレッド・カフマン博士のえぞ麦酒(株)である。西洋そばを原料とするSara、古代スペルト麦を原料とするJosefなどを醸造するBrasserie de Silenrieux(シランリュー)のビールを展示・試飲をしていた。気になったのは新商品L'Autruche(ロトルシュ)。ラベルには大きな羽毛で飾った帽子をかぶった道化のような人とダチョウが描かれている。これは、バンシュの祭りのもう一つの場面である。ダチョウの羽毛で帽子を作るのだとか。このロトルシュはたのシランリューのビールと違って変わった原料は使用していないという。すでに輸入済でいつでも注文に応じられる状態とのこと。
シランリュー醸造所のカタログには、ハチミツビールも掲載されていたが、ミエール(ハチミツビール)は輸入しないのか尋ねたところ、「日本ではハチミツはダメでしょう!」とのこと。う〜ん、隣りのブラッセルズではBarbârが人気なのに〜。熊の絵柄なので「熊はダメでしょう」ということなのでしょうか。
BRASSERIE DE MALONNE SPRL マローヌ醸造所

マローヌ醸造所Benoit Marchalさんと
海外から唯一、取引先を求めて来日したのが、Brasserie de Malonneである。ビールの銘柄は、L'Abbaye de MalonneGribousineの2銘柄で、以下の5商品を今回日本に持ってきた。
  • L'Abbaye de Malonne Blonde 6.3% 330ml,750ml,(30L樽)
  • L'Abbaye de Malonne Brune 6.3% 330ml,(30L樽)
  • Gribousine 8.5% 330ml,750ml
  • Malonne Gribousine Blonde 8.5% 330ml,750ml,(30L樽)
  • Malonne Gribousine d'Hiver 8.5% 330ml
特に気になったのは、アベイ・ド・マローヌで、これまで知られていなかったアベイである。
 大阪の大月さんがこの1月に知人にL'Abbaye de Malonneを貰ったということで、ビールについて次のように述べているので引用する。
「少し調べてみたところ、肩張りラベルには Anno 698 となっていますが、ブランドのみの復活銘柄?の様な気がします。所在地は Namur 郊外なので近所には受託生産歓迎の積極的な醸造所も在ります。」
 私も調べたところ、マローヌ修道院はアングロ・サクソンの僧St.Bertuinが7世紀後半(656〜680年の間/660年頃との説も)に設立した修道院で、698年にSt.Bertuinが亡くなったと推定されている。他の修道院によくある話で、マローヌ修道院も1794年フランス革命軍により略奪。1801年に修道院長が死ぬと衰退し外国人の手に渡り、1840年ナミュールの司教により買い戻される。1841年学校設立し形を変えながら今にいたる。修道院の建物は今も残っている。
 さて、アベイがあることはわかったが、ビールはどこで醸造しているのだろうか。マローヌ醸造所という名だが、知らない醸造所である。大体Brasserieの訳をすべて醸造所にしてしまうと、とんでもない数の醸造所があることになってしまう。L'Abbaye de Malonne Bruneの王冠を見ると、全く同じデザインの王冠を見たことがある、それも隣りのブースで。フローレフ・ダブルと同じである。瓶の形、肩に張られたラベルも同じ大きさ、6.3%というアルコール度数も同じとなると、これはルフェーブル醸造所で作られていると感じる。近所の「受託生産歓迎の積極的な」某D醸造所ではなさそうだ。地図で見るとマローヌ修道院があるマローヌの町のすぐ隣りにはフローレフ修道院がある。いかにも関係ありそうだ。ただし、Blondeの王冠は金色であるので、また不思議。いただいた名刺を見ると醸造所ではなくエクスポーターさんだった。ベルギーブースのパンフレットによると500種以上の製品を輸出と書いてあり、いろいろな醸造所のビールを扱っているらしい。
 つぎに気になるのは、Gribousine(グリブジーヌ)銘柄。これはBinchoiseバンショワーズ醸造所で作っているらしい。ただし、該当しそうなバンショワーズ製品はない。
 さて、輸入元求む!のマローヌ醸造所だが、無事取引先が決まり、5月以降には輸入される見通しである。気になる味わいだが、ビールが輸入されてから、みなさんご自身でご確認ください。
※追伸:
 2005.3末ベルギーを訪れた大月さんのからいただいた情報によると、「現地での雑談中に耳にした話です。Malonne は、Lefebvre に生産委託です。Gribousine も、Binchoise と云う事で、ご想像どうりです。」ということです。(2005.4.3)
その他

Griet DE SCHOUWERさんと

インベブ/小西酒造(株)

マローヌ醸造所C.Hutさん

ベルギービールに人気
ベルギーの食肉関係のブースにひっそりと、バンショワーズ醸造所のボトルが並んでいた。その中に混ざってバンショワーズベルジュBichoise Belgeの瓶が2本並んでいた。うわさでは、バンショワーズ醸造所の人も会場に来ていたらしい。

ベルギービールの魅力
酒蔵奉行所関連
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