酒蔵奉行所・川崎代官所開所記念
夢のビール会(ランビック・ビール特集)
主 催:酒蔵奉行所
日 時:平成15年3月16日(日)
     午後2時〜
会 場:酒蔵奉行所川崎支部
     (川崎代官所)
参加者:奉行・与力・川崎代官・
      鴻巣同心・八州回り・
      ベティさんほか、計9名

酒蔵奉行所の川崎代官が居を移し、川崎代官所として正式にオープンした。それを記念して、ランビック・ビールの会を催した。
 用意したビールは数知れず、リストも無く、飲む順番も決まっていない。その場の雰囲気でどんどんビールを開けていったら、最終的に9人で29種類、大瓶17本・小瓶20本・缶1缶を数えた。これだけのランビック・ビールを今後一同に会して味わう機会はちょっと考えられない。夢のようなビール会であった。
 なお、料理は、小田急線登戸にある、酒蔵奉行所御用達「肉の伊勢屋」さんから調達したもの。国際食肉メッセ世界大会ハム・ソーセージ部門で金賞や銀賞を受賞した凄いもの揃い。
【進行状況】
まずは、最初からドリー・フォンテネン・グーズ、それも2本。続いてオウド・ベールセル・グーズ、これも2本。いきなりランビックの東西横綱級の出品である。いずれも、ベルギーで購入してきたもの。これを飲むだけでも参加した甲斐がある。
 続いて、カンティヨン・ブルオクセラ。旧ラベルで1990年台初頭のもの。4本の出品。4本とも味わいが異なる。1本はコルク臭がありダメ。1本は複雑な香りを醸し出し味わい最高。あとの2本はややドライでストレートな酸味で健全タイプ。10年以上の年月を経て、今味わうことに歓びを感じる。これと比較するのは、ブルオクセラ1996
 その後もまだまだカンティヨン特集で、カンティヨン・イリス1998。これだけ味わってくると、同じ酸味のあるビールでも、イリスが大麦麦芽が原料ということがよく伝わる。
少し、ランビック、グーズ系が続き、「味に飽きた。」「舌が麻痺した」の声により、フルーツ系のビールの登場。フランボワーズのビールを開ける。
 まずは、ドリー・フォンテネン・フランボワーズ。次にランビックではないがリーフマン・クリーク。そして、ボーン・フランボワーズ2000の3本を同時に開ける。
ボーンが出たところで、次もボーン、ボーン・ファロ・ペルタトーレだ。おなじファロ比べということで、リンデマンス・ファロの登場。
「そろそろ、本物に戻ろうよ!」の声により、再び真打ち登場。超レア物、デ・カムである。1本は1998年創業当時のラベルの無い大瓶のグーズ。もう1本は最近のグーズの小瓶で、ラベル有り。バター茶の風味はどちらにも共通している。この風味は若いランビックによくあるが、グーズでは珍しい。
 さらにレア物登場、ベルヴュー・セレクシオン・ランビック1999である。それも2本。かなり酸っぱい。醸造所がカンティヨンと近いせい?。ついでに普通のベルヴュー・グーズも開ける。甘い!。
 こうなると止まらない。
 リンデマンス・キュベ・ルネが3本。1本はベルギー土産のもの。3本はそれぞれ味わいが異なるが、一番状態が良いと思われたベルギー持参品がちょっとおかしかった。輸入の状態とは別に、1本1本のコルクの状態差によっても大きく味が左右されるのである。
 そして、カリスマ、ジラルダン・グーズ・黒ラベルの登場。ジラルダンはただものではない。
 ついでに、本物のランビックではないが、サンルイ・グーズ・フォンド・トラデッションもあわせて開ける。強豪に取り巻かれて、その本来の実力を発揮できなかったようだ。
 忘れていました、ボーン・グーズ・マリアージュ・パルフェの登場です。これは2本。個体差は無く、どちらも素晴らしい味わいを見せる。特に主張したところがなく、落ち着いた安定した味わいで共感を呼んだ。
 シャポー・キュベ。バナナ・ランビックなどですっかりフルーツ・ランビックメーカーとして定着したデ・トロック醸造所の伝統的グーズである。田舎のひなびた味わい。ちょっと劣る。逆に「いままで飲んだ中で最高のキュベ」との声もあった。
 さらにモール・シュビト・オウド・グーズ。グーズ・フォンドとも呼ばれているもの。また、昔のモール・シュビト・グーズが白いラベルだったので、黒ラベルとも呼ばれていたビール。普通のグーズは飲みやすくするため甘味を付けているので、ファロに感じてしまう。色もキャンディ・シュガーの色がかっている。よくラベルを見ると、同じメーカーなのにグーズの表示がGeuzeとGueuzeになっているのに気づくでしょう。オウドは意外とスッキリタイプの酸味。若いせいか深い味わいに欠ける。
 さあ、大御所ハンセンス・グーズハンセンス・クリークの登場。これだけ飲んでも、はっきりと個性を主張するのは、ハンセンスならでは。ブレンドの妙。最高の1本。
超レア物、モリオー・グーズ(小瓶)、「本当に開けていいの?」の声もあったが、惜しげも無く味わう。先日飲んだモリオー・グーズの大瓶はまだ、瓶内発酵の途中で発泡感がなかったが、これは小瓶で熟成が早く進行したせいか、ちゃんと泡立っている。これも若いせいかスッキリタイプ。モール・シュビト・オウド・グーズに近い。
 「あとは、クリークを飲んで終わりにしよう。」と、オウド・ベールセル・クリークの登場。ついでに、まだ残っているクリークからリンデマンス・クリークベルヴュー・クリーク(缶)も開ける。
 最後に、ランビックではないが、ランケ・クリークエヒテ・クリークを開けて終了した。




 

























◆講 評◆
銘柄 印象
1 Drie Fonteinen
Oude Geuze

(6% 75cl)
ドリー・フォンテネンは、グレープフルーツの香味が感じられ、明るく濁る。強い酸味があるが、さまざまな要素からなる複雑味によって、非常にバランスがよいものとなっている。時間がたってもそのバランスを失わない。生き生きしている。
2 Oud Beersel
Oude Geuze Vieille

(6% 75cl)


※2本出品
オウド・ベールセルは、角がとれた酸味と複雑味がバランスよく、スムーズな喉越しのグーズである。ややオレンジ色に濁り、ドリーフォンテネンよりは暗い。ドリー・フォンテンネンほどの発泡感はなく、壮年期のビール。
もう醸造所は閉じているので、貴重な一本。
3 Cantillon
Bruocsella

(5% 37.5cl))


※4本出品
4本の出品。昔、小西酒造で輸入していた物。10年の間、それぞれのおかれた状況が異なるので、味わいも1本ごとに異なる。複雑な味わいのもののあれば、ストレートなものも。
4 Cantillon
Bruocsella1996

(5% 75cl)
1996年ヴィンテージのもの。最近では1998年ヴィンテージ物も輸入されている。2年に1回造るのであろうか。
5 Cantillon
Iris 1998

(5% 75cl)

フレーバーがドライホッピングのピルスナーのようである。原料が大麦麦芽であることに起因する。やはり、ランビックとしては特殊なビールである。よく発泡している。
これも2年に1回の醸造。1996、1998、2000のヴィンテージ確認済み。
6 Drie Fonteinen
Framboise

(6% 75cl)
フランボワーズを漬け込んだもの。水色はやや濁ったピンクや茶が混じった赤。濃い。酸味のバランスが素晴らしい。フランボワーズ系は、クリアーで水色が薄いのが多い中で、このフランボワーズは異色の存在。
7 Liefmans
Frambozenbier

(5.4% 37.5cl)

ブラウン・ビールにフランボワーズを漬け込んだもの。ランビックのような強い酸味はない。穏やかな酸味とフルーツを楽しむ。
1月に、リーフマン醸造所を訪ねたとき味わったフランボワーズは、非常にフレッシュで満点のビールだったが、これはちょっと古いビールだった。
8 Boon
Framboise 2000

(6% 75cl)

色が薄い。ドリ・フォンと比べると原材料のフランボワーズの漬け込む量をけちったと思えるほどキレイ。フレッシュだが、味わい不足。
9 Boon Faro Pertotale
(6% 75cl)
昔、小西酒造で輸入していた750ml瓶。先年輸入された250ml(5%)のものとはまるで違う。250m瓶のせいで、ファロのイメージがダウンした。この大瓶は賞味期限1999年8月のもの。さすがに古酒になっていて、紹興酒やシェリーのような味。醸造酒はみんな最後はこうなるのか。うまく老ねたと思う。
10 Lindemans Faro
(4% 37.5cl)
リンデマンスのファロはバランスが良い。
11 De Cam
Oude Geuze

(5.5% 75cl)
この瓶は生産はじめのころの瓶。2000年1月にデ・カムで購入してきたもの。グレープフルーツやバターの風味が強く、個性があるグーズ。ドリー・フォンテネンの協力があってか、にごり方も似ており、明るく濁る。
12 De Cam
Oude Geuze

(5.5% 37.5%)
2001年1月にデ・カムに行った時には、ラベルが存在していた。これは、2003年1月購入のもの。若いので、まだまだ熟成によりおいしくなると思われる。11番よりはクリアーで、色もやや暗い。バターの風味はこちらの方が強く、若いランビックの個性が残っている。
13 Belle-Vue
Selection Lambic Gueuze

(5.2% 75cl)


※2本出品
ベルヴューでこんなに驚くとは誰も思っていなかった。インパクトは、この日一番。とんでもない酸味は、レモン汁でさえ甘く感じさせるほど。もっと複雑味があるグーズはあるのだが、これには、麻薬のようにクセにさせる怖さがある。
14 Belle-Vue
Gueuze

(5.2% 37.5cl)
あまりにも素材が酸っぱいので、甘味を付けざるを得なかったのだろうか。甘味を付けるとつまらないグーズに変身してしまいました。
なお、製造中止とのうわさがありますが、ベルギーでは、スーパーなどで大量に売っており、入手可能です。ただし、250ml瓶です。(2003.1現在)
15 Lindemans Cuvée René
(5% 37.5cl)


3本出品
キュベ・ルネが3本出品と贅沢。1本はベルギー手土産。しかし、そのボトルが一番ダメ。あとの2本は佐々木商事輸入のもの。3つともそれぞれ味わいが異なるが、基本は同じ。ほどよい酸味と複雑味がバランスよい。評判ほどの偉大さはないが、最高のグーズの一つとして数えてよい。
16 Girardin Gueuze
Black Label

(5% 75cl)
ドリー・フォンテネンのアルマンさんが、ブレンドのベースとして一番のお気に入りが、ジラルダン。黒ラベルは、ドリー・フォンテネンやデ・カム同様、グレープフルーツの香味がバランスよい。純潔なグーズとしての威厳を感じる。白ラベルでは、ジラルダンの本領はわからない。
17 St.Louis Gueuze Fond Tradition
(5% 37.5cl)
回りが凄すぎなのか、西フランダース物だからなのか、ちょっとストレートで弱かった。実力は別の機会にチェックしよう。
廣島輸入のもの。
18 Boon Geuze
Mariage Parfait

(8% 37.5cl)


※2本出品
味わいのバランスでは、群を抜く。飲んで素直に美味しいと思える。じわっと口に旨さが広がるのである。
ボーンさんは1月に会ったとき、もっとマリアージュパルフェの生産量を増やすと言っていたが、質を落とさないで欲しい。
19 Chapeau Cuvée
(5.5% 37.5cl)


レア物。あまりキレイでなかった醸造所内の設備を思い出す。田舎のひなびた味わい。なんか変だ。
ベルギーで1月に購入してきたもの。
20 Mort Subite
Oude Geuze

(7% 37.5cl)
Tim Webb本にはFond Gueuze 6%とあるが、それと同じものであろう。度数は7%ある。まだ、若いので、ストレートな酸味である。
21 Mort Subite
Gueuze

(4.5% 25cl)

甘味をつけたグーズ。キャンディシュガーで甘味付けをしているので、上の20番より茶色の水色である。ランビックに砂糖で甘味をつけるとファロだが、グーズに甘味をつけてもグーズというから困りもの。味はファロじゃないか。
ファロと思って飲むと、美味しい。
22 Hanssens
Oude Gueuze

(6% 75cl)

素晴らしい。 ハンセンスは、最も複雑な味わいのグーズであり、クリークである。香りに酔いしれる。
至福の時。
本日のビールから1本だけ選べと言われたら、このハンセンスであろう(奉行)。
23 Hanssens
Oude Kriek

(6% 75cl)

24 Moriau
Oude Geuze Vielle

(6.5% 37.5cl)
ランビック・ブレンダー、Moriauの復活である。復活してまだ日が浅く、深い味わいに達するまで、まだ幾年かかかるようである。ボーン醸造所で瓶詰めが行われている。
味わいは、まだ若いせいかか、ストレート。グーズとして完成していない。ランビックの味わいを残している。これからに期待。
25 Oud Beersel
Oude Kriek Vieille

(7% 75cl)

きれいな色。泡までピンク色。ハンセンス・クリークのあとだが、それでも印象を残す凄いビール。
26 Lindemans Kriek
(4% 37.5cl)
泡は白い。ジュースを使うと、泡が白いのではないか。果汁がフレッシュ。本物のランビックとしてではなく、フルーツ・ビールとして美味しい。
27 Belle-Vue Kriek
(5.2% 33cl)

これは、熱にやられています。出品者の責任で飲む。
ベルギービールの缶ビールって、本当はいろいろあるんです。
28 Echte Kriek
(6.8% 25cl)
Br.Verhaeghe
レッド・ビールのDuchesse de Bourgogne(6.2%)にクリークを入れたもの。
29 Kriek de Ranke
(75cl)
Br.de Ranke
ブラウン・ビールにクリークを入れたもの。今はなきローデンバッハ・アレキサンダーのようなビール。

ベルギービールの魅力
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