ビールの分類

ビアスタイル・ガイドライン

World Beer Cup 2002 ビアスタイル・ガイドライン
Guidelines to Beer Styles / Categories and Subcategories
ワールド・ビア・カップは、アメリカで、2年に1度開催されている世界で最も権威のある国際的なビールのコンペティション。主催は、米国ブルーワーズ協会
ベルギービール固有のスタイルについても9分類があるので、紹介する。なお、各スタイルの解説は、日本地ビール協会のビアスタイル・ガイドライン2000を読んで欲しい。
  1. Belgian Style White (or Wit)/Belgian-Style Wheat
  2. Belgian-Style Lambic
    1. A. Subcategory: Belgian-Style Lambic
    2. B. Subcategory: Belgian-Style Gueuze Lambic
    3. C. Subcategory: Belgian-Style Fruit Lambic
  3. Belgian-Style Flanders/Oud Bruin Ale
  4. Belgian-Style Pale Ale
  5. Belgian-Style Pale Strong Ale
  6. Belgian-Style Dark Strong Ale
  7. Belgian-Style Dubbel
  8. Belgian-Style Tripel
  9. Other Belgian-Style Ale
日本地ビール協会 ビアスタイル・ガイドライン2000
JCBA Beer Style Guideline 2000
日本地ビール協会では、ワールド・ビアカップのビアスタイルとカテゴリー分類に準じて審査会を実施している。
34.ベルジャンスタイル・フランダース/アウトブライン・エール
フランダース/アウトブライン・エールは、ライトボディないしはミディアムボディで、ディープ・カッパー(濃い銅色)からブラウンの範囲の色合いを持つ。ほのかな酸味のあるものから強烈に酸っぱいもの、あるいは乳酸味を持つものやスパイシーなものなど、バラエティーに富んでいる。いずれも、フルーティーなエステル香が顕著であるが、ホップ・フレーバーとアロマはない。ホップの苦味は、ロー(低)からミディアム(中)レベル。微量であれば、ダイアセチルがあってもかまわない。ローストした麦芽の風味は、低レベルに抑えられていること。全体の特徴として、オークなどウッディなフレーバーが心地よく感じられるものも少なくない。低温白濁は許される。非常にカーボネーション(泡立ち)の強いものもあり、ボトルコンディショニングされたものは、グラスに注いだとき酵母のオリが見られる。
初期比重(プラート度): 1.044−1.056(11−14)
最終比重(プラート度): 1.008−1.016(2−4)
アルコール度数: 4.8−5.2%ABV
ビタネス・ユニット: 15−25 IBU
色度数: 12−18 SRM(24−36 EBC)
35.ベルジャンスタイル・ダベル(ダブル)
ダーク・アンバーからブラウンの範囲の色合いを持つエールで、ミディアムボディないしフルボディ。麦芽の甘味に加えて、ナッティ・フレーバー、チョコレート・フレーバー、それにローストした麦芽の香ばしいアロマを特徴とする。ホップ・アロマについては、微量なレベルに抑えること。ホップの苦味を低く抑え、ホップ・フレーバーもあってはならない。ダイアセチルは、徴量であれば問題ない。発酵によってもたらされるフルーティーなエステル香(とくにバナナ香)については、低レベルであるほうが望ましい。へッド(泡)は厚くきめ細かく、ムースのようでなければならない。低温白濁は許される。
初期比重(プラート度): 1.050−1.070(12.5−17.5)
最終比重(プラート度): 1.012−1.016(3−4)
アルコール度数: 6.0−7.5% ABV
ビタネス・ユニット: 18−25 IBU
色度数: 14−18 SRM(28−36 EBC)
36.ベルジャンスタイル・トリペル(トリプル)
トリペルの特徴は、スパイシーでフェノーリックなフレーバーである。同時にバナナに似たフルーティーなエステル香が感じられる場合もあるが、これはなくてもかまわない。色合いは、淡いゴールド。ボディはミディアムからフルの範囲をキープ。後味は、苦味よりも甘味のほうを強くする。甘味は淡色モルトによるもので、ローストした麦芽やダークなモルトのキャラクターが感じられてはならない。ホップ・フレーバーは弱くてもかまわない。アルコール度数が高く、アルコールのフレーバーもはっきりと感じられること。ヘッド(泡)は厚くきめ細かく、ムースのようでなければならない。低温白濁は許される。
初期比重(プラート度): 1.060−1.096(17.5−24)
最終比重(プラート度): 1.016−1.024(4−6)
アルコール度数: 7.0−10.0% ABV
ビタネス・ユニット: 20−25 IBU
色度数: 3.5−5.5 SRM(7−11 EBC)
37.ベルジャンスタイル・ペールエール
ベルジャン・ペールエールは、イングリッシユ・ペールエールやアメリカン・ペールエールに比べ、ホップのキャラクターが著しく弱く、苦味、フレーバー、アロマのいずれにおいても、ほのかに感じられるレベルが望ましい。通常、ノーブルタイプのホップ品種が使われる。ボディはライトからミディアムの範囲に収め、麦芽のアロマも低く抑える。低レベルであれば、カラメル・フレーバーやトーストした香ばしいフレーバーがあってもよい。その一方で、フルーティーなエステル香がはっきりと感じられること(ローからミディアムの範囲)。色合いは、ゴールドからディープ・アンバー(濃い琥珀色)の範囲。ダイアセチルは、不可。低温白濁は許される。
初期比重(プラート度): 1.044−1.054(11−13.5)
最終比重(プラート度): 1.008−1.014(2−3.5)
アルコール度数: 4.0−6.0% ABV
ビタネス・ユニット: 20−30 IBU
色度数: 3.5−12 SRM(7−12 EBC)
38.ベルジャンスタイル・ペール・ストロング・エール
ベルジャンスタイル・ペール・ストロング・エールの色合いは、淡い麦わら色からゴールドの範囲。アルコール度数が高いにもかかわらず、比較的ボディがライトである。色を薄くするためとアテニュエイション(発酵度)を高めるために、ベルギーのホワイト・キャンデーシュガー(氷砂糖)がしばしば使われる。ホップの苦味はローからミディアム。ホップ・アロマとフレーバーもローからミディアムの範囲をキープする。また、実際のアルコール度数ほどにはアルコール感が感じられず、ボディもライトないしミディアムである。モルト・キャラクターについてはローからミディアムでなければならないが、複雑なフルーティー香を伴っていればやや強く感じられてもよい。ダイアセチルはないのが望ましいが、あっても微量であれば可。また、ハーブやスパイスのフレーバーがほのかに感じられるものもある。低温白濁は許される。
初期比重(プラート度): 1.064−1.096(16−24)
最終比重(プラート度): 1.012−1.024(3−6)
アルコール度数: 7.0−11.0% ABV
ビタネス・ユニット: 20−50 IBU
色度数: 3.5−7 SRM(7−14 EBC)
39.ベルジャンスタイル・ダーク・ストロング・エール
ベルジャンスタイル・ダーク・ストロング・エールの色合いは、アンバーからブラウンの範囲。ベルギーのダーク・キャンデー・シュガー(茶氷砂糖)を使い、アテニュエイション(発酵度)の度合いを通常よりも高めているものが多い。ボディはミディアムないしフル。軽くローストしたモルトのフレーバーにフルーティーなエステル香が加わって複雑な味わいをつくっている。とくに、甘く、濃厚で、クリーミーなモルトのキャラクターが強く感じられること。アルコール度数は高いが、アルコール感を感じさせてはいけない。ホップに関しては、苦味、フレーバー、アロマともに、ロー(低)からミディアム(中)の範囲内にとどめる。また、ハーブやスパイスのフレーバーをほのかに付け加えてもよい。ダイアセチルはないのが望ましいが、あっても微量であれば可。低温白濁は許される。
初期比重(プラート度): 1.064−1.096(16−24)
最終比重(プラート度): 1.012−1.024(3−6)
アルコール度数: 7.0−11.0% ABV
ビタネス・ユニット: 20−50 IBU
色度数: 7−20 SRM(14−40 EBC)
40.ベルジャンスタイル・ホワイト/ベルジャンスタイル・ウィート
ベルジャンスタイル・ホワイトエールは、製麦しない(麦芽にしない)小麦と大麦麦芽の両方を用いて仕込み、煮沸時にコリアンダーとオレンジピール(オレンジの皮)でスパイシーな風味づけを行う。色合いは、淡いゴールド。ボトルコンディションされる場合が多く、注いだときに白濁が見られる。ホップについては、ノーブル・タイブが使われ、苦味レベルはロー(低)からミディアム(中)の範囲。ホップ・フレーバーもローからミディアムの範囲にとどめる。ボディもライトないしはミディアム。ダイアセチル(バタースコッチのような風珠)があってはならない。フルーティーなエステル香についてもローからミディアムに抑える。ほのかな酸味があるのが望ましい。
初期比重(プラート度): 1.044−1.050(11−12.5)
最終比重(プラート度): 1.006−1.010(1.5−2.5)
アルコール度数: 4.8−5.2% ABV
ビタネス・ユニット: 12−25 IBU
色度数: 2−4 SRM(4−8 EBC)
41.ベルジャンスタイル・ランビック
a.ベルジャンスタイル・ランビック
ランビックは野生酵母を利用してつくられる自然発酵ビールで、強いエステル香と激しい酸味(必ずしも酢酸系とは限らない)を特徴とする。炭酸ガスは低い。大麦麦芽のほか製麦しない(麦芽にしない)小麦を用いて仕込むため、できたビールが白濁する。麦芽の甘味はまったく感じられない。ホップの苦味については、きわめて低レベルに抑えなければならない。口当たりは非常にドライで、ライトボディである。ブリッセル地区でつくられるランビック以外は正式なランビックと認められず、"ランビック・スタイル"と表示される。
初期比重(プラート度): 1.044−1.056(11−14)
最終比重(プラート度): 1.000−1.010(0−2.5)
アルコール度数: 5−6%ABV
ビタネス・ユニット: 11−23 IBU
色度数: 6−13 SRM(12−26 EBC)
 b.ベルジャンスタイル・グーズランビック
グーズランピックは、熟成させたランビックと発酵を終えたばかりの若いランビックをブレンドし、ボトルに詰めて二次発酵させたもの。非常にドライ(辛口)な口当たりを特徴とし(ほのかな甘味を持つ場合もある)、アロマとフレーバーについては酸味とフルーティーなエステル香がはっきりと感じられる。原料に関しては、大麦麦芽と製麦しない(麦芽にしない)小麦、および長年貯蔵して古くなったホップが使われる。麦芽の甘味はまったく感じられない。ホップの苦味はきわめて微弱。ダイアセチルは、不可。常温・低温での白濁は問題ない。口当たりは非常にドライで、ライトボディである。ブリッセル地区でつくられるランビック以外は正式なランビックと認められず、"ランビック・スタイル"と表示される。
初期比重(プラート度): 1.044−1.056(11−14)
最終比重(プラート度): 1.000−1.010(0−2.5)
アルコール度数: 5−6% ABV
ビタネス・ユニット: 11−23 IBU
色度数: 6−13 SRM(12−26 EBC)
c.ベルジャンスタイル・フルーツランビック
フルーツランビックは、フラムボアーズ、クリーク、ペーシュ、カシスなどという名前で知られ、果実のフレーバーとアロマを特徴とする。色合いは、使われる果実の色によってさまざまである。甘味とともに酸味がフレーバーの重要な部分を占めている。口当たりについては、辛口でライトボディなものから甘口でフルボディなものまで範囲が広い。ブリッセル地区でつくられるランビック以外は正式なランビックと認められず、"ランビック・スタイル"と表示される。
初期比重(プラート度): 1.040−1.072(10−17.5)
最終比重(プラート度): 1.008−1.016(2−4)
アルコール度数: 5.0−7.0% ABV
ビタネス・ユニット: 15−21 IBU
色度数: 使用される果実の色味による

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