ベルギービールの個性を発揮させるためにも、ビールの注ぎ方は重要です。ワインと同じように扱うべきでしょう。
グラスは当然ながらきれいで、透明感が求められます。汚れたグラスだと泡が大きくなります。指紋一つ付いているだけで、グラスからの泡立ちが異なってしまします。シャンパンのようなきめの細かい泡立ちは、純粋に磨かれたきれいなグラスによって初めて実現できるのです。ベルギーのビア・カフェではグラスを常に光り輝かせるように磨いています。
グラスには銘柄のロゴがプリントされていますが、その位置はビールの液面と泡との境の目印ともいわれています。
ヒューガルデン・ホワイトのように喉を癒すビールをビア・サーバーから注ぐのと、コクのあるタイプのビールを瓶から注ぐのとでは、注ぎ方が異なります。
1. ヒューガルデン・ホワイトやライトなビールの注ぎ方
グラスを傾けて、ビールをグラスの側面に添わせゆっくりと注意深く注ぎます。ビールがグラス半分になったら垂直にして注ぎます。グラスの上の方に、指2本(Two
Fingers)分の泡を作り、グラスから泡を溢れさせます。
次にナイフを45度に傾けて表面の泡をそぎ落とします。表面の荒い泡が無くなり、きめの細かい泡だけがビールの表面を覆います。
そして、ビール・マットに乗せてサービスします。
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ヒューガルデン・ホワイトをサーバーから注ぐ
(CBBのデュ・ヴォワさん:Foodex2000会場で) |
2. 瓶からの注ぎ方
上面発酵のビールなどコクのあるタイプのビールを瓶から注ぐことで重要なことは、グラスがきれいなことに加えて、完全に乾いていることです。洗ったあとすぐの場合でも、乾燥させ、よく拭いて余分な水分を残さないようにします。
注ぎ方は、やはり角度を付けて、グラスの壁を添うように注ぎ、半分ほどで真っ直ぐに立てます。瓶にはボトル5分の1くらい残します。これはグラスに澱が入らないようにするためで、ボトルに澱(酵母)を残します。グラスには澱を入れてはいけません。
そのあとグラスをビール・マットに乗せてサービスします。さらに、瓶のラベルがお客さんに見えるように置きます。
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瓶から注ぐ |
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※澱の考え方
瓶に沈殿している澱(酵母)については、基本的にグラスに注ぐべきではないと言われている。しかし考え方は人さまざまのようです。ベルギービール広報センターのヤンさんは、絶対にグラスには入れないと強く主張し、残った澱は捨てるか料理に使用するべきだと言っています。しかし、Foodex2000の関係で来日されたCBBのデュ・ヴォワさんは、澱はボトルに残さなければいけないと言いながら、自分個人ではグラスに入れて飲んでしまうと言っていました。
要するに個人の好みの問題ですが、お客に提供する時点では、瓶に澱が残っていなければならないということだと思います。
お客は透明なグラスの中で透き通ったビールを楽しむ権利があり、それをそのまま飲むのも、澱を入れてコクと風味を増して(雑味も増す)味わうのもお客の権利なのです。
トラピストビールのシメイなどでは、飲む前には必ず瓶を立てて酵母を沈殿させて、それを絶対にグラスに入れないようにして味わうようパンフレット等に書いてありますが、修道院の修道僧は、そんなことを一言も言っていません。酵母のことなんか気にしていない様子です。
澱は健康に良いもの、滋養強壮にもよいとして飲んでも、それは個人の好みの問題でしょう。
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